中国への食品輸出を検討しているけれど、製造施設の登録手続きが複雑で何から始めればよいか分からないとお悩みではありませんか。
2022年1月に施行された新規定により、中国向けに食品を輸出する企業は、GACC(中国税関総局)への登録が必須となりました。登録なしでは輸出できないため、法令遵守は避けて通れません。
この記事では、中国食品輸出登録の製造施設手続きについて、必要な書類リスト、書類の様式や記載要件、審査にかかる期間、登録費用といった実務上の疑問を徹底的に解説します。
さらに新規定の具体的な内容や従来の規定からの変更点、対象となる食品や企業の範囲、罰則規定についても詳しくご説明します。
この記事を最後まで読んでいただければ、自社の登録申請を適切に進めるための知識が身につき、スムーズに中国への食品輸出を実現できるようになります。
中国への食品輸出登録とは
中国への食品輸出登録とは、中国に食品を輸出する際に必ず必要となる手続きのことです。
中国税関総局(GACC)が管理するこの制度では、食品を製造する施設そのものを事前に登録しなければなりません。この登録がないと、どんなに品質の良い食品を作っていても中国に輸出することはできないのです。
2022年1月以前は、一部の食品だけが登録の対象でした。しかし新しい規定が始まってからは、ほぼすべての食品を作る工場や施設が登録対象となっています。これは中国政府が輸入食品の安全性をより厳しく管理するために設けた仕組みです。
登録制度の目的は、中国に入ってくる食品の品質と安全性を確保することにあります。製造施設の衛生管理体制や品質管理の仕組みが中国の基準を満たしているかを事前にチェックすることで、問題のある食品が中国市場に入り込むのを防いでいます。
そのため、この登録は単なる形式的な手続きではなく、実際の製造環境や管理体制が審査されることになります。
2022年1月施行の新規定の概要
2022年1月1日に施行された新規定は、「中華人民共和国輸入食品海外製造企業登録管理規定」という正式名称を持っています。この規定は2021年4月12日に公布され、企業に準備期間を与えるため約8か月後に実施されました。
新規定の最も大きな変更点は、登録が必要な食品の範囲が大幅に広がったことです。
従来は肉類、乳製品、水産物など一部の食品だけが対象でしたが、新規定ではほぼすべての食品が登録対象となりました。お菓子、調味料、加工食品、健康食品なども含まれるようになったのです。
もう一つの重要な変更は、登録の有効期間が設けられたことです。
一度登録すれば永久に有効だった従来の制度とは異なり、新規定では5年ごとの更新が必要になりました。更新時には再度審査が行われるため、継続的に基準を満たし続けることが求められます。
さらに、登録情報に変更があった場合の届出義務も明確化されました。工場の住所が変わったり、製造ラインを増設したり、会社の名前が変わったりした場合には、速やかにGACCに報告しなければなりません。この報告を怠ると、登録が取り消される可能性もあるため注意が必要です。
GACC(中国税関総局)による登録制度
GACC(General Administration of Customs of China)は、中国の税関を統括する政府機関で、日本でいうと財務省の税関部門に相当します。
食品輸出の登録管理もGACCの重要な業務の一つです。
GACCによる登録制度では、製造施設ごとに固有の登録番号が発行されます。
この登録番号は中国に輸出する際の通関書類に必ず記載しなければならず、いわば「輸出許可証」のような役割を果たします。登録番号がない製品は、中国の港に到着しても通関できずに送り返されてしまいます。
登録審査では、製造施設の衛生管理、品質管理、トレーサビリティ(製品の追跡可能性)などが細かくチェックされます。具体的には、工場の清潔さ、従業員の衛生教育、原材料の管理方法、製造記録の保存状況などが審査対象となります。場合によっては、GACC職員による現地視察が実施されることもあります。
GACCは登録された施設の情報をウェブサイト上で公開しています。これにより、中国の輸入業者は信頼できる製造施設から製品を購入できるようになっています。また、問題が発生した場合には速やかに該当施設を特定し、必要な措置を取ることが可能になっています。
登録が必要な製造施設の範囲
登録が必要な製造施設の範囲は、想像以上に広いことを理解しておく必要があります。
単に食品を最終的に製造する工場だけでなく、食品の加工に関わる様々な施設が対象となるからです。
まず、食品を直接製造する工場は当然ながら登録が必要です。
例えば、お菓子を作る工場、調味料を製造する工場、冷凍食品を作る工場などがこれに該当します。複数の製品を作っている場合でも、中国に輸出する製品を一つでも作っていれば登録が必要になります。
食品を加工・処理する施設も登録対象です。例えば、野菜を洗浄してカットする施設、魚を切り身にする加工場、食肉を部位ごとに分ける施設なども含まれます。これらは最終製品を作っているわけではありませんが、食品の安全性に影響を与える工程を担っているため登録が求められます。
保管施設については、単に製品を一時的に保管するだけの倉庫は基本的に登録不要です。ただし、冷凍・冷蔵保管など、製品の品質管理に重要な役割を果たす施設については登録が必要となる場合があります。また、製造施設と一体となって運営されている保管施設は、製造施設の一部として登録に含める必要があります。
複数の工場を持つ企業の場合、それぞれの工場ごとに個別の登録が必要です。同じ会社が運営していても、工場の所在地が異なれば別々に登録しなければなりません。逆に、一つの敷地内に複数の製造ラインがある場合は、一つの施設としてまとめて登録することができます。
中国食品輸出登録の対象となる企業と品目
中国への食品輸出において、どの企業がどの品目で登録が必要なのかを正確に理解することは非常に重要です。登録方法は品目によって異なり、企業自らが中国政府に直接申請するケースと、日本の農林水産省を通じて申請するケースに分かれています。この違いを理解していないと、間違った手続きを進めてしまい、時間と労力を無駄にしてしまう可能性があります。
また、登録が不要な品目も一部存在します。不要な登録申請をしてしまうと、審査機関に無駄な負担をかけるだけでなく、本来必要な準備に時間を使えなくなってしまいます。自社の製品がどのカテゴリーに該当するのかを最初にしっかり見極めることが、スムーズな輸出実現への第一歩となります。
企業自ら登録が必要な品目
企業自らが中国のGACCに直接登録申請をしなければならない品目があります。これらは「企業自ら登録品目」と呼ばれ、日本の農林水産省を経由せずに手続きを進める必要があります。
代表的な品目としては、まず加工食品全般が挙げられます。
例えば、レトルト食品、インスタント麺、冷凍食品、缶詰、菓子類、調味料、飲料などです。これらの製品を中国に輸出したい企業は、自社で中国語の書類を準備し、GACCのオンラインシステムを通じて申請を行わなければなりません。
健康食品やサプリメントも企業自ら登録が必要な品目です。中国では健康食品の輸入に対して特に厳しい管理を行っているため、製造施設の登録に加えて、製品ごとの登録も必要になる場合があります。原材料の安全性データや製品の成分分析結果なども提出を求められることが多くあります。
農産物の加工品も基本的には企業自ら登録のカテゴリーに入ります。例えば、野菜の漬物、ジャム、果物の缶詰、乾燥野菜などがこれに該当します。
ただし、単純な一次加工にとどまる場合は、次に説明する農林水産省経由の登録となることもあるため、判断に迷う場合は農林水産省に相談することをお勧めします。
企業自ら登録を行う場合の最大の課題は、中国語での書類作成とGACCとの直接やり取りが必要になることです。中国語ができる社員がいない場合は、専門の代行業者やコンサルタントに依頼することも検討すべきでしょう。
農林水産省を通じて登録する品目
一方、日本の農林水産省が窓口となって登録手続きを進める品目もあります。これらは主に動物性食品や一部の水産物で、日本政府が品質や安全性を保証する形で中国に情報を提供します。
肉類とその加工品は、農林水産省を通じた登録が必要です。牛肉、豚肉、鶏肉などの生肉はもちろん、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの食肉加工品も対象となります。これらの製品は家畜の伝染病などのリスクがあるため、日本政府が衛生管理を監督している施設であることを証明する必要があるのです。
乳製品も農林水産省経由での登録品目です。牛乳、チーズ、バター、ヨーグルトなどが該当します。乳製品は食品安全上の重要性が高いため、日本国内で既に厳しい基準のもとで製造されている施設であることを、農林水産省が保証する形で登録が進められます。
水産物については、品目や加工の程度によって扱いが異なります。生鮮や冷凍の魚介類の多くは農林水産省を通じた登録となりますが、高度に加工された水産加工品(魚肉ソーセージや練り製品など)は企業自ら登録が必要になる場合もあります。
農林水産省を通じて登録する場合のメリットは、日本語での手続きが可能なことと、農林水産省が申請書類の確認やGACCとの調整を行ってくれることです。企業側の負担は比較的軽くなりますが、農林水産省での審査期間が必要となるため、全体の登録完了までには時間がかかる傾向があります。
登録が不要な品目
すべての食品が登録を必要とするわけではありません。一部の品目については登録なしで中国に輸出することができます。
最も代表的な登録不要品目は、加工度の低い農産物です。例えば、洗浄しただけの野菜や果物、乾燥させただけの農産物などは、基本的に製造施設の登録は不要とされています。ただし、これらの品目でも中国の植物検疫をクリアする必要はありますし、輸出可能な品目は限られているため注意が必要です。
お茶の葉も基本的には登録不要です。日本茶を中国に輸出する場合、製造施設の登録は求められません。ただし、ティーバッグに加工したり、他の原材料と混ぜたりした製品は加工食品とみなされ、登録が必要になる可能性があります。
酒類についても、一部は登録不要とされています。日本酒、焼酎、ビールなどのアルコール飲料は、製造施設の登録は基本的に不要です。ただし、中国側の輸入規制や検疫要件は別途確認する必要があります。
食品添加物や食品原料として使われる素材も、最終消費者向けの食品ではないため登録不要となることがあります。ただし、輸入する中国側の企業が食品製造に使用することを前提としているため、その用途や安全性に関する書類は必要になります。
登録が不要だからといって、何の手続きもなく輸出できるわけではありません。中国の輸入規制、検疫要件、通関手続きなどは別途必要となります。また、中国側の輸入業者が独自に求める書類や証明書もあるため、取引先とよく確認しながら進めることが大切です。
中国食品輸出登録の製造施設手続きの流れ
中国への食品輸出登録の手続きは、複数のステップを経て進められます。全体の流れを理解しておくことで、どの段階で何をすべきかが明確になり、計画的に準備を進めることができます。
手続きの流れは、農林水産省を通じて登録する場合と、企業自らGACCに登録する場合で異なります。どちらのルートでも、書類の準備、申請、審査、登録完了という基本的な流れは共通していますが、具体的な手順や必要な期間には違いがあります。
特に初めて中国への輸出を行う企業にとっては、手続きの全体像を把握することが成功への鍵となります。各段階でどのくらいの時間がかかるのか、どんな書類が必要なのかを事前に理解しておけば、余裕を持ったスケジュールを組むことができます。
登録申請の全体スケジュール
📊 登録ルート比較表
中国への食品輸出登録にかかる期間は、品目や登録ルートによって大きく異なります。全体としては、準備開始から登録完了まで最短でも3か月、通常は6か月から1年程度を見込んでおく必要があります。
まず準備段階として、自社の製造施設が中国の基準を満たしているかを確認する期間が必要です。この段階では、衛生管理体制の見直し、製造記録の整備、トレーサビリティシステムの確認などを行います。既に国内で適切な管理を行っている企業であれば1か月程度で済みますが、改善が必要な場合は2〜3か月かかることもあります。
書類の準備には通常1〜2か月程度かかります。会社の登記簿謄本や施設の図面など、既存の書類を集めるだけでなく、製造工程の説明書や品質管理マニュアルなどを中国側の要求に合わせて作成する必要があるためです。特に中国語への翻訳が必要な書類は、専門的な内容を正確に訳すために時間がかかります。
申請後の審査期間は、農林水産省経由の場合で通常2〜4か月程度です。農林水産省での事前確認に1〜2か月、その後GACCでの審査に1〜2か月というのが一般的なパターンです。企業自らGACCに申請する場合は、書類に不備がなければ1〜3か月程度で審査が完了することもありますが、追加資料の提出を求められると更に時間がかかります。
現地視察が必要と判断された場合は、さらに数か月の期間が追加されます。視察の日程調整、実施、報告書の作成などを含めると、3〜6か月程度余分に見ておく必要があります。ただし、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で現地視察が実施されにくくなっており、書面審査のみで完了するケースも増えています。
農林水産省での申請受付プロセス
農林水産省を通じて登録申請を行う場合、まず農林水産省のウェブサイトから申請に関する最新情報を確認することから始めます。品目によって担当部署が異なるため、自社の製品がどの部署の管轄になるかを確認することが重要です。
申請の最初のステップは、農林水産省への事前相談です。メールや電話で連絡を取り、自社の製品について説明し、必要な手続きや書類を確認します。この段階で、登録が必要かどうか、どのような準備が必要かなどの基本的なアドバイスを受けることができます。
次に、正式な申請書類を準備します。農林水産省が指定する様式に従って、会社情報、施設情報、製造する製品の詳細などを記入します。この時、日本語で記入できるため、企業自ら中国語で申請する場合に比べて負担は軽くなります。添付書類として、会社の登記簿謄本、施設の図面、製造工程の説明書、衛生管理マニュアルなども準備します。
申請書類を農林水産省に提出すると、まず形式面での確認が行われます。必要な書類が揃っているか、記入漏れがないかなどがチェックされます。不備があれば修正を求められるため、できるだけ正確に記入することが大切です。形式審査が通過すると、内容の実質的な審査に入ります。
実質審査では、製造施設の衛生管理体制、品質管理の方法、製造設備の適切性などが詳しく検討されます。場合によっては、農林水産省の担当者が実際に施設を訪問して確認を行うこともあります。審査の過程で追加の資料提出を求められることも少なくありません。
農林水産省での審査が完了すると、農林水産省から中国のGACCに登録推薦の連絡が行われます。その後はGACCでの審査となりますが、この段階では農林水産省とGACCの間でやり取りが行われるため、企業側が直接対応することは基本的にありません。最終的にGACCから登録が承認されると、農林水産省を通じて企業に登録番号が通知されます。
GACCへの直接申請方法
企業自らGACCに登録申請を行う場合は、GACCが運営するオンライン登録システムを使用します。このシステムは中国語でのみ提供されているため、中国語ができる担当者がいない場合は、専門のコンサルタントや代行業者に依頼することを検討すべきです。
まず、GACCのウェブサイト(http://cifer.singlewindow.cn/)にアクセスし、企業アカウントを作成します。この際、会社の基本情報や担当者の連絡先などを登録します。アカウント作成後、メールで認証コードが送られてくるので、それを入力してアカウントを有効化します。
次に、製造施設の登録申請を開始します。システム上で必要な情報を入力していきます。会社名、住所、連絡先などの基本情報に加えて、製造する製品のカテゴリー、製造工程の概要、主要な製造設備のリスト、従業員数、年間生産能力なども記入します。
入力が完了したら、必要な書類をPDFファイルとしてアップロードします。会社の登記証明書、施設の平面図、製造工程フロー図、衛生管理マニュアル、品質管理マニュアル、検査設備のリスト、主要製品のリストなどが必要です。これらの書類はすべて中国語または英語で作成する必要があります。
申請を送信すると、GACCでの審査が始まります。システム上で申請状況を確認することができ、審査の進捗状況や追加書類の要求などが表示されます。追加書類を求められた場合は、速やかに準備してアップロードすることが大切です。対応が遅れると審査が中断されてしまいます。
審査の過程で、GACCから質問や確認事項がシステムを通じて送られてくることがあります。これらにも中国語で回答する必要があるため、正確に理解し適切に答えることが重要です。場合によっては、追加の技術資料や写真の提出を求められることもあります。
審査が順調に進み、GACCが施設を承認すると、登録番号が発行されます。この登録番号は、システム上で確認できるほか、正式な登録証明書もダウンロードできるようになります。この証明書と登録番号を使って、中国への食品輸出が可能になります。
中国食品輸出登録に必要な書類と要件
中国への食品輸出登録において、適切な書類を準備することは成功の鍵となります。必要な書類は多岐にわたり、それぞれに細かな要件が設定されています。書類に不備があると審査が遅れたり、最悪の場合は申請が却下されたりする可能性もあるため、注意深く準備を進める必要があります。
書類の準備で特に重要なのは、中国側が求める形式と内容を正確に理解することです。日本国内で通常使用している書類をそのまま提出しても、中国の基準に合わないことが多くあります。また、多くの書類は中国語または英語での提出が求められるため、翻訳の正確性も重要なポイントとなります。
提出書類のチェックリスト
📋 必要書類チェックリスト
申請前に以下の書類が準備できているか確認しましょう。チェック欄をクリックして進捗管理にご活用ください。
📄 基本書類
🏭 施設関連書類
⚙️ 製造・品質管理書類
🍱 製品関連書類
🌏 翻訳・その他
✓ すべてチェックがついたら申請準備完了です!
中国への食品輸出登録に必要な書類は、大きく分けて会社に関する書類、施設に関する書類、製造管理に関する書類の3つのカテゴリーに分類できます。それぞれのカテゴリーで必要となる主な書類を確認していきましょう。
会社に関する書類としては、まず会社の登記簿謄本が必要です。これは会社が法的に存在していることを証明するもので、3か月以内に発行されたものを用意します。外国企業であることを証明するため、英語または中国語の翻訳を添付する必要があります。公的な翻訳証明が求められることもあるので、確認しましょう。
会社概要書も重要な書類です。会社の設立年、資本金、従業員数、主要な事業内容、年間売上高などを記載します。特に食品製造に関する経験や実績については詳しく説明することが求められます。これまでに取得している食品安全関連の認証(ISO22000、HACCPなど)があれば、その証明書のコピーも添付すると審査にプラスになります。
法定代表者の身分証明書も必要です。社長や代表取締役のパスポートのコピーなどを準備します。また、登録申請を行う担当者の身分証明書と委任状も求められます。委任状には、その担当者が会社を代表して登録申請を行う権限があることを明記します。
施設に関する書類では、工場の所在地を示す地図が必要です。Googleマップなどのスクリーンショットではなく、正式な住所表示のある地図を用意します。施設の平面図も重要な書類で、製造エリア、保管エリア、検査室、従業員用施設などを明確に区分して示す必要があります。
施設の写真も多数必要になります。外観写真、製造ラインの写真、保管庫の写真、検査設備の写真、衛生設備(手洗い場、更衣室など)の写真などを撮影します。写真は鮮明で、施設の実態がよく分かるものを選びます。日付入りの写真が求められることもあるため、撮影日が確認できるようにしておきます。
製造管理に関する書類としては、製造工程のフロー図が必須です。原材料の受け入れから最終製品の出荷まで、すべての工程を図示します。各工程での重要な管理ポイント(温度管理、時間管理、異物混入防止対策など)も明記します。
衛生管理マニュアルは非常に重要な書類です。施設の清掃方法、従業員の衛生管理、害虫駆除の方法、廃棄物の処理方法などを詳しく記載します。単なる一般論ではなく、自社で実際に行っている具体的な方法を説明することが大切です。
品質管理マニュアルでは、原材料の検査方法、製造工程での検査項目、最終製品の品質基準、不合格品の処理方法などを説明します。使用している検査機器のリストと、その機器の校正記録も添付します。
主要な原材料のリストと、それぞれの仕入れ先情報も必要です。特に動物性原料や特定の添加物を使用する場合は、その安全性を証明する書類も求められることがあります。製造する製品のリストには、各製品の名称、主要な原材料、製造方法の概要を記載します。
書類の様式と記載要件
書類の様式と記載要件は、GACCが定める基準に従う必要があります。日本国内で使用している書類の形式とは異なることが多いため、注意が必要です。
まず、書類のサイズはA4判が基本です。日本でよく使われるB5判などは避け、国際標準のA4サイズで統一します。ページ数が多い書類は、左側をホチキスまたはバインダーで綴じ、ページ番号を付けます。PDFファイルとして提出する場合は、ファイルサイズが大きくなりすぎないよう注意が必要です。
言語については、中国語が第一優先です。英語でも受け付けられることがありますが、中国語の方が審査がスムーズに進む傾向があります。日本語の書類は基本的に受け付けられないため、必ず翻訳が必要です。翻訳は専門的な内容を正確に訳す必要があるため、食品分野に詳しい翻訳者に依頼することをお勧めします。
会社名や住所の英語表記は、登記簿謄本や定款に記載されている正式なものを使用します。勝手に簡略化したり、通称を使ったりしてはいけません。日本の住所を英語表記する際は、「1-2-3 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo」のように、番地から大きな単位へと並べる英語式の順序で記載します。
数値の表記にも注意が必要です。面積は平方メートル(㎡)で、温度は摂氏(℃)で記載します。重量はキログラム(kg)またはトン(t)を使用します。日本独自の単位(坪、升など)は使わないようにします。日付の表記は西暦で行い、「2024年11月9日」ではなく「2024-11-09」または「November 9, 2024」のように記載します。
図面や写真には、必ず説明文を付けます。「工場外観」「製造ライン」「検査室」など、何を示しているのかを明確にします。写真は鮮明で明るく、対象物がはっきり見えるものを選びます。暗すぎたり、ぼやけていたりする写真は審査で問題となる可能性があります。
署名や捺印については、中国側の要求に応じます。会社の代表者名を記載し、その下に署名または記名をします。会社の公印(社印)を押すことも一般的です。日本では個人の印鑑を使うことが多いですが、中国では会社の公印の方が重要視されます。
書類の日付は、申請時点から3か月以内のものが原則です。古い書類は最新の状況を反映していないとみなされ、再提出を求められることがあります。特に登記簿謄本などの公的書類は、発行日が新しいものを用意することが大切です。
eMAFF申請システムの利用方法
農林水産省を通じて登録申請を行う場合、eMAFF(農林水産省共通申請サービス)というオンラインシステムを使用します。このシステムは、農林水産省への各種申請をインターネット上で行えるように整備されたもので、中国向け食品輸出の登録申請にも対応しています。
eMAFFを利用するには、まずシステムへの利用登録が必要です。農林水産省のeMAFFウェブサイト(https://emaffwebapp.maff.go.jp/)にアクセスし、「新規登録」ボタンから登録手続きを開始します。メールアドレスを入力すると確認メールが届くので、そこに記載されたURLをクリックして本登録に進みます。
本登録では、会社名、住所、電話番号、担当者名などの基本情報を入力します。法人番号(マイナンバーの法人版)も入力する必要があるので、事前に確認しておきましょう。すべての情報を入力してアカウントを作成すると、ログインIDとパスワードが発行されます。
ログイン後、申請メニューから「輸出証明書等の申請」を選択し、さらに「中国向け食品輸出に係る施設登録」を選びます。申請する品目カテゴリー(肉類、乳製品、水産物など)を選択すると、その品目に応じた申請様式が表示されます。
画面の指示に従って、必要な情報を入力していきます。会社情報、施設情報、製造する製品の詳細などを順番に記入します。入力途中で保存することもできるので、一度にすべて完成させる必要はありません。時間をかけて正確に入力することを心がけましょう。
添付書類のアップロード機能もあります。登記簿謄本、施設の図面、製造工程説明書などをPDFファイルとしてアップロードします。ファイルサイズの上限があるため、大きなファイルは圧縮するか、複数のファイルに分割する必要があることもあります。ファイル名は内容が分かりやすいものにしておきましょう。
すべての入力とファイルアップロードが完了したら、内容を確認して申請を送信します。送信後は、システム上で申請状況を確認できます。「受付済み」「審査中」「追加資料要求」「承認」などのステータスが表示されるので、定期的にチェックすることをお勧めします。
追加資料の提出を求められた場合も、同じシステムを通じて対応できます。担当者からのメッセージや要求内容がシステム上に表示されるので、それに応じて必要な書類をアップロードします。メールでも通知が届くよう設定しておくと、対応漏れを防ぐことができます。
eMAFFシステムは24時間いつでもアクセスできますが、メンテナンス時間を除きます。通常、平日の昼間であれば、システムの操作方法について農林水産省のヘルプデスクに電話で問い合わせることもできます。初めて利用する場合は、不明な点を確認しながら進めるとよいでしょう。
中国食品輸出登録の審査期間と費用
中国への食品輸出登録を計画する際、審査にどれくらいの期間がかかるのか、費用はどの程度必要なのかは、企業にとって重要な関心事です。適切な事業計画を立てるためにも、これらの情報を正確に把握しておく必要があります。
審査期間と費用は、登録の方法や品目、企業の準備状況などによって大きく変わります。標準的なケースから、特別な対応が必要となるケースまで、様々なパターンがあることを理解しておきましょう。
登録審査にかかる期間
⏱️ 登録完了までのスケジュール目安
準備段階
- 衛生管理体制の見直し
- 製造記録の整備
- トレーサビリティ確認
- 施設改修(必要な場合)
書類作成・翻訳
- 申請書類の作成
- 添付資料の準備
- 中国語翻訳(必要な場合)
- 写真・図面の整理
申請・審査期間
登録完了・輸出開始
登録番号発行後、中国への輸出が可能になります
登録審査にかかる期間は、申請ルートや品目によって異なりますが、全体として3か月から1年程度を見込んでおく必要があります。最も順調に進んだ場合でも3か月、複雑なケースでは1年以上かかることもあります。
農林水産省を通じて申請する場合、まず農林水産省での事前審査に1〜2か月程度かかります。この段階では、提出書類の内容確認、施設の適格性の判断、必要に応じた追加資料の要求などが行われます。書類に不備があると、この段階で時間がかかってしまうため、最初から丁寧に準備することが大切です。
農林水産省の審査を通過すると、中国のGACCでの審査に移ります。GACCでの審査期間は通常1〜3か月程度です。ただし、審査の進み具合は時期によって変動します。中国の連休時期(春節や国慶節など)には審査が止まることもあるため、申請のタイミングには注意が必要です。
企業自らGACCに申請する場合、書類に問題がなければ比較的短期間で審査が完了することもあります。最短では1〜2か月程度で登録番号が発行されたケースもあります。しかし、これは書類が完璧に揃っていて、追加の質問や資料要求がなかった場合の話です。実際には、何らかの確認事項が発生することが多く、3〜6か月程度かかるのが一般的です。
現地視察が必要と判断された場合は、さらに期間が延びます。視察の日程調整だけでも数週間から数か月かかることがあります。実際の視察実施後、GACCが視察結果を評価し、最終判断を下すまでにも時間がかかります。現地視察が必要なケースでは、申請から登録完了まで6か月〜1年以上を見込んでおくべきです。
審査期間を短縮するためのポイントは、初回の申請で完璧な書類を提出することです。追加資料の要求や修正依頼が来るたびに、対応に時間がかかり、全体のスケジュールが遅れていきます。また、GACCからの質問や要求には速やかに対応することも重要です。対応が遅れると審査が中断され、場合によっては最初からやり直しになることもあります。
登録費用と更新費用
中国への食品輸出登録にかかる費用は、大きく分けて公的な手数料と、準備のために必要となる実費の2種類があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
公的な手数料については、日本の農林水産省を通じて申請する場合、農林水産省への手数料は基本的に無料です。これは日本政府が輸出促進のために企業の負担を軽減しているためです。GACCへの登録手数料も、現時点では徴収されていません。つまり、公的機関に支払う直接的な費用はゼロということになります。
ただし、登録準備のための実費は相当額が必要になります。最も大きな費用項目は、書類の翻訳費用です。会社案内、衛生管理マニュアル、品質管理マニュアル、製造工程説明書など、多くの書類を中国語に翻訳する必要があります。翻訳費用は文字数や専門性によって異なりますが、全体で50万円〜150万円程度かかることが一般的です。
コンサルタントや代行業者を利用する場合は、その費用も必要です。中国語での申請書類作成、GACCとのやり取り、審査対応などを含めたフルサポートを依頼すると、100万円〜300万円程度の費用がかかります。業者によって価格やサービス内容は大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取って比較することをお勧めします。
施設の改修が必要になった場合は、その費用も考慮する必要があります。中国の基準を満たすために、製造ラインの区画を明確にしたり、衛生設備を増設したりする必要が出てくることがあります。小規模な改修であれば数十万円程度ですが、大規模な工事が必要になると数百万円から数千万円かかることもあります。
現地視察が実施される場合は、GACC職員の渡航費、宿泊費、視察に伴う諸経費を企業側が負担することになります。職員の人数や滞在日数にもよりますが、通常50万円〜200万円程度の費用が発生します。ただし、近年は新型コロナウイルス感染症の影響で現地視察が減少しており、書面審査のみで済むケースが増えています。
登録の更新についても考えておく必要があります。中国の登録は5年ごとに更新が必要で、更新時には再度審査が行われます。更新手数料は現時点では無料ですが、更新のための書類準備や、場合によっては再度の翻訳費用が必要になります。更新費用は新規登録ほどではありませんが、30万円〜80万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
全体として、中国への食品輸出登録には、少なくとも100万円、通常は200万円〜500万円程度の費用がかかると考えておくべきです。ただし、これらの費用は輸出を実現するための投資であり、中国市場で販売が軌道に乗れば十分に回収できる金額です。
現地指導が必要な場合の対応
場合によっては、GACCが現地視察を実施することがあります。これは「現地指導」や「現地評価審査」と呼ばれ、書類だけでは確認できない実際の製造環境や管理体制をチェックするものです。
現地視察が必要と判断されるケースはいくつかあります。初めて中国に輸出する品目である場合、過去に同様の製品で問題が発生したことがある場合、製造工程が特殊で書類だけでは理解しにくい場合などです。また、大規模な施設や高リスクの製品(肉類、乳製品など)については、現地視察が実施される可能性が高くなります。
現地視察が決まると、まずGACCから視察の通知が来ます。通知には、視察予定日、視察官の人数、視察の目的などが記載されています。ただし、具体的な日程は後日調整となることが多く、企業側の都合も考慮してスケジュールが決められます。
視察に向けた準備は非常に重要です。まず、施設全体を徹底的に清掃します。普段から清潔に保っているはずですが、視察前にはいつも以上に念入りな清掃を行います。製造エリアだけでなく、保管庫、検査室、従業員の休憩室、トイレなども忘れずにチェックします。
製造設備の点検も必要です。すべての機器が正常に動作することを確認し、必要に応じてメンテナンスを実施します。温度計や計量器などの計測機器は、校正が有効期限内であることを確認し、校正証明書をすぐに提示できるよう準備しておきます。
書類の整備も欠かせません。製造記録、検査記録、原材料の受入記録、製品の出荷記録など、日常的に作成している記録類を整理し、すぐに提示できる状態にしておきます。特に過去3〜6か月分の記録は詳しくチェックされる可能性が高いため、不備や記入漏れがないか確認します。
視察当日は、会社の代表者または責任者が対応します。視察官からの質問には、正直かつ正確に答えることが大切です。分からないことを曖昧に答えたり、事実と異なることを言ったりすると、信頼を損なう結果となります。通訳が必要な場合は、食品製造や衛生管理の専門用語に詳しい通訳者を手配しておきます。
視察では、製造エリアの見学、製造工程の説明、品質管理体制の確認、記録類の確認などが行われます。視察官は写真を撮ったり、メモを取ったりしながら、詳細に施設をチェックします。製造ラインが稼働している状態を見たいと要望されることもあるため、視察日には実際に製造を行えるよう計画しておくとよいでしょう。
視察の最後には、視察官から講評が行われることがあります。良かった点や改善が必要な点について指摘を受けます。改善点が指摘された場合は、速やかに対応策を検討し、実施する必要があります。重大な問題が見つかった場合は、再視察となることもあります。
視察後、GACCは視察報告書を作成し、最終的な登録の可否を判断します。視察結果が良好であれば、通常1〜2か月程度で登録が承認されます。視察で指摘事項があった場合は、その改善状況を報告した後に承認となります。
現地視察は企業にとって負担が大きいですが、見方を変えれば、自社の製造管理体制を客観的に評価してもらえる良い機会でもあります。視察をクリアすることで、中国側からの信頼も高まり、その後の取引がスムーズに進むことが期待できます。
中国食品輸出登録でよくある質問
中国への食品輸出登録を進める過程で、多くの企業が同じような疑問や不安を抱えます。ここでは、実際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報を事前に知っておくことで、スムーズな登録手続きを進めることができます。
登録申請の準備で注意すべきポイント
登録申請を成功させるために、準備段階で特に注意すべきポイントがいくつかあります。これらを押さえておくことで、審査での指摘や修正を減らし、スムーズな登録完了につながります。
最も重要なのは、自社の製造管理体制を客観的に見直すことです。日本国内の基準は満たしていても、中国の要求する基準とは異なる部分があるかもしれません。特に、製造エリアと非製造エリアの明確な区分、原材料保管エリアと製品保管エリアの分離、従業員の動線管理などは、中国側が重視するポイントです。
書類の一貫性も重要なチェックポイントです。会社案内に記載した従業員数と、施設情報に記載した従業員数が一致しているか、製造能力の数字が各書類で統一されているかなど、細かな点まで確認します。矛盾があると審査で問題視され、すべての書類の見直しを求められることもあります。
翻訳の品質にも注意が必要です。機械翻訳をそのまま使用すると、不自然な表現や誤訳が含まれる可能性があります。特に専門用語や製造工程の説明は、食品分野に詳しい翻訳者にチェックしてもらうことをお勧めします。誤訳により審査官に誤解を与えてしまうと、登録が遅れる原因となります。
写真の撮り方も意外と重要です。施設の実態を正確に伝えられる写真を選びます。広角で撮影して全体が分かるものと、重要な設備を近くから撮影したものの両方を用意するとよいでしょう。照明が暗すぎたり、物が雑然と置かれていたりする写真は、マイナスの印象を与える可能性があります。
申請のタイミングも考慮すべきポイントです。中国の長期休暇(春節、国慶節など)の直前に申請すると、審査が休暇後まで止まってしまいます。また、年度末や年度初めは審査が混み合う傾向があります。可能であれば、これらの時期を避けて申請することで、スムーズな審査が期待できます。
登録後の更新手続きについて
中国への食品輸出登録は、一度取得すれば永久に有効というわけではありません。5年ごとに更新手続きが必要です。更新を怠ると登録が失効し、輸出ができなくなってしまうため、計画的に準備を進める必要があります。
更新手続きは、有効期限の3〜6か月前から準備を始めることをお勧めします。有効期限ギリギリになって準備を始めると、万が一審査に時間がかかった場合、有効期限切れになってしまうリスクがあります。有効期限が切れると、新規登録と同じ手続きが必要になり、時間も費用も大幅に増加してしまいます。
更新時に必要な書類は、基本的に新規登録時と同じです。ただし、登録後に変更があった点については、その変更内容を説明する書類も必要になります。例えば、製造ラインを増設した場合は新しい図面、設備を更新した場合は新しい設備リスト、従業員数が大きく変わった場合は現在の組織図などを準備します。
変更がない場合でも、すべての書類を最新の日付で作り直す必要があります。5年前の書類をそのまま使うことはできません。会社の登記簿謄本も最新のものを取得し、写真も最近撮影したものを使用します。衛生管理マニュアルや品質管理マニュアルも、内容に変更がなくても日付を更新します。
更新審査では、過去5年間の製造実績や輸出実績も評価されます。実際に中国への輸出を継続的に行っていたか、製品の品質に問題はなかったかなどがチェックされます。輸出実績が全くない場合や、品質問題が発生していた場合は、更新が認められないこともあるため注意が必要です。
更新手続きの費用は、新規登録ほど高額にはなりませんが、それでも数十万円程度は必要です。書類の翻訳費用、コンサルタント費用(利用する場合)、必要に応じた施設の改修費用などを見込んでおきましょう。更新のための予算を事前に確保しておくことが大切です。
輸出できない食品の品目
中国への食品輸出には、様々な制限があります。製造施設の登録が完了していても、すべての食品を輸出できるわけではありません。輸出が禁止されている品目や、特別な許可が必要な品目について理解しておくことが重要です。
まず、中国が輸入を禁止している品目があります。現在、日本の福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、長野県で生産された食品の一部は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して輸入規制の対象となっています。これらの地域で製造された製品を輸出する場合は、特別な証明書が必要になります。
牛肉については、BSE(牛海綿状脳症)対策として、日本からの輸出に厳しい条件が課されています。現時点では、特定の施設で処理された30か月齢以下の牛肉のみが輸出可能とされています。この条件を満たさない牛肉は輸出できません。
鶏肉や鶏卵については、鳥インフルエンザの発生状況によって輸出が停止されることがあります。日本国内で鳥インフルエンザが発生すると、その地域からの輸出が一時的に禁止されます。再開には、疫病の終息を確認する手続きが必要となり、数か月以上かかることもあります。
健康食品の中には、中国で医薬品として分類される成分を含むものがあります。このような製品は食品としては輸出できません。医薬品として別の手続きを取る必要があり、非常に複雑で時間もかかります。自社製品に含まれる成分が中国でどのように分類されているかを事前に確認することが大切です。
遺伝子組み換え食品についても規制があります。中国は遺伝子組み換え食品の輸入を認めていますが、厳格な表示義務と安全性審査が必要です。遺伝子組み換え原料を使用している場合は、その旨を適切に表示し、必要な承認を取得しなければなりません。
また、輸出は可能でも、輸入時に追加の手続きが必要な品目もあります。例えば、アルコール飲料は輸入許可証が必要で、これは中国側の輸入業者が取得します。乳幼児向けの粉ミルクも、特別な登録と検査が必要です。
自社の製品が輸出可能かどうか判断に迷う場合は、農林水産省の相談窓口やJETRO(日本貿易振興機構)に問い合わせることをお勧めします。最新の規制情報を確認し、適切な手続きを踏むことで、トラブルを避けることができます。
まとめ
中国への食品輸出登録は、複雑で時間のかかるプロセスですが、正しい知識と計画的な準備によって確実に実現できます。この記事でご紹介した内容を参考に、自社の状況に合わせた登録計画を立てていただければと思います。
最も重要なポイントは、早めに準備を始めることです。登録には最短でも3か月、通常は6か月から1年程度かかります。中国市場への参入を計画している企業は、できるだけ早く登録手続きに着手することをお勧めします。
製造施設の管理体制を日頃から適切に維持することも大切です。登録のためだけに一時的に対応するのではなく、継続的に高い水準の衛生管理と品質管理を実践することで、審査もスムーズに進み、登録後の更新も容易になります。
書類の準備には細心の注意を払いましょう。特に翻訳の品質、書類間の一貫性、写真の質などは、審査に大きく影響します。必要に応じて専門家のサポートを受けることも、成功への近道となります。
費用面では、翻訳費用、コンサルタント費用、必要に応じた施設改修費用などを含めて、200万円〜500万円程度の投資を見込んでおく必要があります。これは決して小さな金額ではありませんが、14億人を超える中国市場へのアクセスを得るための投資と考えれば、十分に意味のあるものです。
登録後も、5年ごとの更新手続きを忘れずに行うこと、登録内容に変更があった場合は速やかにGACCに報告すること、継続的に中国への輸出実績を積み重ねることなどが重要です。
中国への食品輸出は、日本の優れた食品を世界に届ける素晴らしい機会です。登録手続きは確かに大変ですが、それを乗り越えることで、大きなビジネスチャンスが広がります。この記事が、皆様の中国市場への挑戦の一助となれば幸いです。