オーガニック食品を海外に輸出したいと考えているものの、「EUやアメリカへの輸出には何が必要なのか」「有機JAS認証だけで輸出できるのか」と疑問をお持ちではありませんか。

この記事では、オーガニック食品の輸出において重要な「同等性制度」について、EUとアメリカそれぞれの仕組みを詳しく解説します。同等性制度を活用すれば、日本の有機JAS認証を取得するだけで、輸出先国の認証を別途取得することなく、EUやアメリカ市場でオーガニック製品として販売することが可能です。

記事では、日本とEU・アメリカの同等性協定の具体的な内容から、必要な認証要件、2025年以降の新ルール、さらには同等性を利用するメリットや代替手段まで、輸出担当者が知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。

オーガニック食品の輸出における同等性とは

オーガニック食品を海外に輸出する際、「同等性制度」という仕組みを活用できることをご存知でしょうか。この制度を理解することで、輸出のハードルが大きく下がります。

同等性とは、日本と輸出先の国が互いの有機認証制度を同じレベルと認め合う仕組みです。この協定が結ばれている国であれば、日本の有機JAS認証を取得するだけで、相手国でもオーガニック製品として販売することが可能になります。

現在、日本は主にEU(欧州連合)とアメリカ(米国)との間で同等性協定を締結しています。つまり、これらの市場への輸出を考えている事業者にとって、同等性制度は非常に重要な選択肢となるのです。

日本の有機同等性協定の歴史
2012年1月
日本・EU 有機同等性協定 発効
有機農産物と有機加工食品を対象に、日本とEU間で有機認証の相互認証が開始。有機JASマークとEUオーガニックロゴが互いに認められるようになった。
2014年1月
日本・米国 有機同等性協定 発効
有機農産物と有機加工食品を対象に、日本と米国(USDA)間で有機認証の相互認証が開始。日本からの輸出が大幅に促進された。
2020年
対象品目拡大の協議開始
日本とEU間で、有機酒類や有機畜産物を同等性の対象に含めるための協議が本格化。輸出事業者からの要望を受けて交渉が進展。
2025年5月
日本・EU 同等性の対象拡大
有機酒類、有機畜産物、有機畜産物加工品が新たに同等性の対象に追加。有機日本酒、有機焼酎、有機牛肉、有機鶏卵などのEU輸出が可能になった。
2025年〜
新規制への対応期
米国でトレーサビリティ要件の強化、包装材規制の厳格化など新ルールが段階的に施行。輸出事業者は継続的な対応が求められる時期に。

同等性制度の基本的な仕組み

同等性制度は、二国間または多国間で有機認証の基準を相互に認め合うための国際的な枠組みです。

具体的には、日本が有機JAS制度で定める基準とEUやアメリカの有機基準が「実質的に同等である」と両国政府が合意することで成り立っています。この合意により、日本国内で有機JAS認証を受けた製品は、輸出先国でも追加の認証なしにオーガニック製品として流通できるようになります。

例えば、日本で有機JASマークを取得した醤油をEUに輸出する場合、通常であればEUの有機認証を別途取得する必要があります。しかし同等性制度を利用すれば、有機JASの認証だけでEU市場でも「オーガニック醤油」として販売可能です。

ただし、同等性が認められている品目や条件には制限があります。すべての食品が対象というわけではなく、協定で定められた範囲内での適用となる点に注意が必要です。

日本と海外の有機認証における同等性の意義

オーガニック食品の輸出において、同等性制度が持つ意義は非常に大きいです。

第一に、認証取得のコスト削減が挙げられます。通常、海外の有機認証を取得するには高額な費用と長い時間がかかります。認証機関への支払いや現地調査の費用、書類翻訳や専門家への依頼など、中小企業にとっては大きな負担です。同等性制度を活用すれば、日本国内で取得済みの有機JAS認証だけで済むため、これらのコストを大幅に削減できます。

第二に、手続きの簡素化です。複数の国に輸出する場合、それぞれの国で異なる認証を取得するのは非常に煩雑な作業になります。書類の形式や提出先、審査基準も国ごとに違うため、担当者の負担は計り知れません。同等性があれば、一つの認証で複数市場に対応できるため、業務効率が飛躍的に向上します。

第三に、市場参入のスピードアップです。新規認証の取得には数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。しかし同等性制度なら、既存の有機JAS認証があればすぐに輸出を開始できます。ビジネスチャンスを逃さないためにも、この迅速性は大きなメリットといえるでしょう。

認証項目 有機JAS
(日本)
EU Organic
(欧州連合)
USDA Organic
(米国)
認証マーク 有機JASマーク
(緑色の太陽マーク)
EUオーガニックロゴ
(ユーロリーフ)
USDA Organicシール
(円形の緑マーク)
主な対象品目 農産物、加工食品、飼料、畜産物、酒類 農産物、加工食品、畜産物、水産養殖物、酒類 農産物、加工食品、畜産物、繊維製品
有機原料の
含有率基準
加工食品:95%以上
(重量ベース)
加工食品:95%以上
(重量ベース)
「Organic」表示:95%以上
「Made with Organic」:70%以上
遺伝子組換え
原料の使用
禁止 禁止 禁止
使用可能な
添加物
指定された約100種類
(食品添加物、加工助剤)
指定された約50種類
(より制限的)
指定された約40種類
(National Listに基づく)
転換期間 農産物:播種・植付け前2年以上
多年生作物:収穫前3年以上
農産物:2年以上
多年生作物:3年以上
農産物:3年以上
認証取得の
主な管理機関
農林水産省
(登録認証機関経由)
EU委員会
(各加盟国の認証機関)
USDA
(認定認証機関経由)
年次監査 必須
(最低年1回)
必須
(最低年1回)
必須
(最低年1回)
同等性協定 EU、米国と締結済み
(2025年拡大)
日本、米国、その他複数国と締結 日本、EU、カナダ等と締結

オーガニック食品の輸出とEUの同等性制度

EU市場は世界最大級のオーガニック市場であり、日本の食品メーカーにとって魅力的な輸出先です。

EUとの同等性制度を理解することで、この巨大市場への参入がより現実的になります。ここでは、日本とEUの同等性協定の具体的な内容と、実際の輸出で必要となる手続きについて解説します。

日本とEUの有機同等性協定の内容

日本とEUの間では、2012年から有機農産物と有機加工食品に関する同等性協定が発効しています。

この協定により、日本の有機JAS認証を取得した製品は、EUでもオーガニック製品として販売できるようになりました。逆に、EUのオーガニック認証を受けた製品も日本で有機として扱われます。

協定の対象となるのは、主に農産物とその加工品です。例えば、米、野菜、果物、茶葉などの農産物、そしてこれらを原料とした味噌、醤油、ジャムなどの加工食品が含まれます。

ただし、2025年5月からは対象範囲が拡大されました。有機酒類、有機畜産物、そして有機畜産物を原料とした有機加工食品も同等性の対象に含まれることになったのです。これにより、日本酒や焼酎などの有機酒類、有機牛肉や有機鶏肉、そしてこれらを使った加工品もEUに輸出しやすくなりました。

この拡大により、日本のオーガニック食品メーカーがEU市場で展開できる商品の幅が大きく広がっています。

EU向けオーガニック食品の輸出に必要な有機JAS認証

EUにオーガニック食品を輸出するには、まず日本国内で有機JAS認証を取得することが必須です。

有機JAS認証は、農林水産省が定める日本農林規格(JAS規格)に基づいた認証制度です。この認証を取得するためには、登録認証機関による審査を受け、有機農産物や有機加工食品の生産・製造方法が基準に適合していることを証明する必要があります。

認証取得の流れは以下の通りです。まず、登録認証機関に申請書類を提出します。その後、書類審査と現地調査が行われ、栽培方法や製造工程、使用している資材などが細かくチェックされます。審査に合格すると、有機JAS認証が付与され、製品に有機JASマークを表示できるようになります。

認証取得には通常3ヶ月から6ヶ月程度かかり、費用は認証機関や事業規模によって異なりますが、数十万円から数百万円程度が一般的です。また、認証は1年ごとの更新が必要で、定期的な監査も実施されます。

EU向け輸出の場合、有機JAS認証書のコピーや取引証明書などの書類も必要になるため、認証機関と連携して準備を進めることが重要です。

EU輸出で利用できる品目と制限事項

EUとの同等性制度には、利用できる品目と制限事項があります。

まず、対象となる品目についてです。2025年5月以降、有機農産物、有機加工食品、有機酒類、有機畜産物、有機畜産物加工品が対象に含まれます。具体的には、有機米、有機茶、有機野菜、有機果物、有機味噌、有機醤油、有機日本酒、有機牛肉、有機鶏卵などです。

ただし、すべての有機食品が無条件で認められるわけではありません。いくつかの制限事項があります。

第一に、使用できる添加物や加工助剤に制限があります。日本の有機JAS規格で認められている添加物でも、EU規則で禁止されているものは使用できません。輸出前に、使用している添加物がEU基準に適合しているか確認する必要があります。

第二に、製造工程における制限です。有機と非有機の製品を同じ施設で製造する場合、交差汚染を防ぐための適切な管理が求められます。製造ラインの洗浄手順や保管方法などについて、明確な記録を残すことが重要です。

第三に、ラベル表示の要件です。EUで販売する際には、EU規則に従ったラベル表示が必要になります。原材料リスト、アレルゲン表示、原産国表示などをEU基準に合わせて記載しなければなりません。

これらの制限事項を事前に把握し、適切に対応することで、スムーズなEU輸出が可能になります。

オーガニック食品の輸出とアメリカの同等性制度

アメリカもまた、オーガニック食品の巨大市場です。

米国との同等性制度を活用することで、日本のオーガニック食品メーカーはこの市場への参入障壁を下げることができます。ここでは、日本とアメリカの同等性協定の詳細と、2025年以降の新しいルールについて解説します。

日本とアメリカの有機同等性協定の内容

日本とアメリカの間でも、2014年から有機同等性協定が発効しています。

この協定により、日本の有機JAS認証を受けた製品は、米国でもオーガニック製品として「USDA Organic」のラベルを付けて販売することができます。同様に、米国のUSDAオーガニック認証を受けた製品も、日本で有機JASマークを付けて販売可能です。

米国との同等性協定の対象は、有機農産物と有機加工食品です。具体的には、有機野菜、有機果物、有機穀物、そしてこれらを原料とした加工品が含まれます。日本の緑茶、米菓、調味料などが米国市場で人気を集めています。

米国の有機市場は年々拡大しており、消費者の健康志向やサステナビリティへの関心の高まりから、オーガニック食品の需要が急増しています。特に、日本食や和食材への関心が高く、有機醤油、有機味噌、有機抹茶などは大きなビジネスチャンスを秘めています。

米国での販売には、FDA(食品医薬品局)への施設登録や事前通知など、別途必要な手続きもあります。しかし、有機認証に関しては同等性制度を活用できるため、認証取得の負担は大幅に軽減されます。

アメリカ向けオーガニック食品の輸出における認証要件

米国にオーガニック食品を輸出する際の認証要件について説明します。

基本的には、日本国内で有機JAS認証を取得していれば、米国でもオーガニック製品として販売できます。ただし、いくつかの追加要件があります。

まず、製品のラベル表示です。米国で販売する際には、英語での表示が必要になります。製品名、原材料リスト、内容量、製造者情報、栄養成分表示などを米国の規則に従って記載しなければなりません。また、「USDA Organic」のロゴを使用する場合は、適切な形式で表示する必要があります。

次に、取引証明書の発行です。有機JAS認証を受けた製品を輸出する際には、認証機関が発行する取引証明書(Transaction Certificate)が必要です。この証明書には、製品が有機基準に適合していることや、ロット番号、出荷量などの情報が記載されます。

さらに、米国の輸入業者との連携も重要です。輸入業者は米国側で必要な手続き(通関手続き、FDA登録の確認など)を行いますが、日本側からも適切な書類や情報を提供する必要があります。特に、原材料の産地情報や製造工程の詳細など、米国側が求める情報を正確に伝えることが求められます。

2025年以降の新ルールと対応方法

2025年以降、米国向けのオーガニック食品輸出に関していくつかの新しいルールが導入されています。

最も重要な変更点の一つが、トレーサビリティ要件の強化です。米国FDA(食品医薬品局)は、食品安全近代化法(FSMA)に基づき、特定の高リスク食品について詳細なトレーサビリティ情報の記録を義務付けています。2026年以降、対象となる食品には製造ロットコードの表示と、サプライチェーン全体でのトレーサビリティ情報の共有が求められます。

オーガニック食品を輸出する事業者は、製品の製造ロット番号をパッケージに明記し、原材料の調達先から最終消費者までの流通経路を記録・管理する体制を整える必要があります。

また、包装材に関する規制も注目すべきポイントです。米国では、食品に直接触れる包装材料がFDA(食品医薬品局)の規制対象となっています。プラスチック容器、コーティング、インク、接着剤などに使用される物質は、FDAによって事前に使用が許可されたものでなければなりません。

特に近年、PFAS(フッ素化合物)やビスフェノールAなど、食品包装中の化学物質に対する規制が強化されています。輸出前に、使用している包装材がFDAの基準に適合しているか確認し、必要に応じてサプライヤーから適合証明を取得しておくことが推奨されます。

さらに、バイオエンジニア食品(遺伝子組換え食品)の表示に関する規則にも注意が必要です。米国では2022年から、遺伝子組換え技術で改変された原材料を含む食品には「Bioengineered」の表示が義務付けられています。オーガニック食品は基本的に遺伝子組換え原料を使用しませんが、万一混入の可能性がある場合は適切な表示が求められます。

これらの新ルールに対応するため、輸出前に最新の規制情報を確認し、必要な準備を整えることが重要です。JETROや専門のコンサルタントを活用することで、スムーズな対応が可能になります。

オーガニック食品の輸出で同等性を利用するメリット

同等性制度を活用することで、オーガニック食品の輸出事業は大きく前進します。

ここでは、同等性制度がもたらす具体的なメリットについて、コスト面と手続き面から詳しく見ていきましょう。

二重認証の回避によるコスト削減

同等性制度の最大のメリットは、二重認証の負担を回避できることです。

通常、海外の有機認証を取得するには多額の費用がかかります。例えば、EUのオーガニック認証を直接取得する場合、認証機関への申請費用だけで数十万円から百万円以上かかることもあります。さらに、現地の認証機関による工場視察が必要な場合、調査員の渡航費や宿泊費も負担しなければなりません。

また、認証取得のために必要な書類作成や翻訳作業も大きなコストとなります。申請書類、製造工程書、原材料リストなど、膨大な書類を現地の言語(英語やEU圏各国の言語)に翻訳する必要があり、専門的な知識を持つ翻訳者への依頼費用も発生します。

同等性制度を利用すれば、これらのコストをすべて回避できます。日本国内で既に有機JAS認証を取得している事業者であれば、追加の認証費用はほとんど発生しません。取引証明書の発行手数料など最小限の費用だけで済むため、特に中小企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。

さらに、認証の維持管理コストも削減できます。複数の認証を保有する場合、それぞれの認証ごとに年次監査や更新手続きが必要になり、毎年継続的なコストが発生します。同等性制度なら、日本の有機JAS認証の維持だけで複数市場に対応できるため、長期的なコスト削減効果も期待できます。

輸出手続きの簡素化と時間短縮

同等性制度のもう一つの大きなメリットは、輸出手続きの簡素化と時間短縮です。

新たに海外の有機認証を取得する場合、申請から認証取得まで通常6ヶ月から1年以上かかります。この間、事業計画が停滞し、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。

同等性制度を活用すれば、既に保有している有機JAS認証を使ってすぐに輸出を開始できます。必要なのは取引証明書の発行など最小限の手続きだけなので、数週間から1ヶ月程度で輸出準備を整えることが可能です。

また、複数の国に輸出する場合の手続きも格段に簡単になります。EUと米国の両方に輸出する場合でも、日本の有機JAS認証一つで対応できるため、それぞれの国で異なる認証を取得する手間が省けます。

書類作成の負担も軽減されます。各国ごとに異なる申請フォーマットや提出書類を準備する必要がなく、日本の認証機関が発行する統一的な証明書類で対応できます。これにより、輸出担当者の業務負担が大幅に減り、他の重要な業務に時間を割くことができるようになります。

さらに、トラブル発生時の対応もシンプルです。万一、輸出先で製品に関する問い合わせや確認が必要になった場合でも、日本の認証機関と連携して対応できるため、言語の壁や時差の問題も最小限に抑えられます。

オーガニック食品の輸出における同等性以外の選択肢

同等性制度は便利ですが、すべてのケースで最適な選択肢とは限りません。

場合によっては、輸出先国の有機認証を直接取得する方が適していることもあります。ここでは、同等性以外の選択肢とその判断基準について解説します。

輸出先国の有機認証を直接取得する方法

輸出先国の有機認証を直接取得するという選択肢もあります。

この方法は、同等性協定が結ばれていない国に輸出する場合や、より幅広い商品を展開したい場合に有効です。例えば、中国、韓国、台湾、東南アジア諸国など、日本と同等性協定を結んでいない国々への輸出を考える場合、現地の有機認証を取得する必要があります。

直接認証を取得する手順は以下の通りです。まず、輸出先国の有機認証制度について調査します。各国には独自の有機基準や認証機関があり、それぞれ要件が異なります。次に、認証機関を選定して申請手続きを開始します。多くの場合、現地の認証機関または国際的に活動する認証機関(海外のオーガニック認証機関で日本にも事務所を持つ機関など)を利用できます。

申請には、製造工程の詳細、使用原材料のリスト、施設の図面、品質管理体制などの書類提出が必要です。その後、認証機関による審査が行われ、必要に応じて現地調査も実施されます。審査に合格すれば、その国の有機認証マークを製品に表示できるようになります。

直接認証を取得するメリットとしては、その国特有の市場要求に完全に対応できることが挙げられます。また、現地の消費者に対して、自国の認証マークを見せることで信頼性を高めることができます。

一方、デメリットとしては、認証取得に高額な費用と長い時間がかかること、各国ごとに異なる基準に対応する必要があることなどが挙げられます。

同等性制度と海外認証のどちらを選ぶべきか

同等性制度と海外認証の直接取得、どちらを選ぶべきかは事業の状況によって異なります。

以下の判断基準を参考にしてください。

同等性制度を選ぶべきケース

輸出先がEUまたは米国である場合は、同等性制度の活用が最適です。特に、既に有機JAS認証を取得している事業者であれば、追加のコストや時間をかけずにすぐに輸出を開始できます。

また、初めて海外輸出に取り組む中小企業や、予算に制約がある場合も同等性制度がおすすめです。リスクを最小限に抑えながら海外市場に参入できるため、テストマーケティングとしても有効です。

さらに、複数の国に同時展開を考えている場合、EUと米国の両方をカバーできる同等性制度は非常に効率的な選択肢となります。

海外認証を直接取得すべきケース

輸出先が中国、韓国、台湾、東南アジアなど、日本と同等性協定を結んでいない国である場合は、現地の有機認証を直接取得する必要があります。

また、輸出先国で長期的かつ大規模な事業展開を計画している場合も、直接認証の取得が有利です。現地の認証マークを持つことで、消費者の信頼を得やすく、現地パートナーとの交渉もスムーズに進みます。

さらに、同等性協定の対象外となる品目(例えば、特定の加工度の高い製品や新しいカテゴリーの商品)を輸出する場合も、海外認証が必要になります。

両方を組み合わせる戦略

実際には、同等性制度と海外認証の両方を組み合わせることも可能です。例えば、まずEUや米国向けには同等性制度を活用して輸出を開始し、事業が軌道に乗った段階で、中国や韓国向けに現地認証を取得するという段階的なアプローチが効果的です。

また、製品ラインによって使い分けることもできます。主力商品はEU・米国向けに同等性制度を活用し、特定市場向けの専用商品には現地認証を取得するといった戦略です。

最終的には、自社の事業目標、予算、人的リソース、ターゲット市場などを総合的に考慮して判断することが重要です。必要に応じて、JETROや専門コンサルタントに相談することで、最適な戦略を立てることができるでしょう。

まとめ

オーガニック食品の輸出において、EUとアメリカとの同等性制度は非常に強力なツールです。

この制度を活用することで、日本の有機JAS認証だけで世界最大級のオーガニック市場にアクセスできます。認証取得のコストと時間を大幅に削減できるため、特に中小企業にとっては海外展開の大きなチャンスとなるでしょう。

ただし、同等性制度には対象品目や使用できる添加物などの制限もあります。輸出前に、自社製品が同等性の対象となるか、必要な要件を満たしているかを十分に確認することが重要です。

また、2025年以降は米国でのトレーサビリティ要件の強化など、新しいルールにも対応する必要があります。最新の規制情報を常にチェックし、適切な準備を整えることで、スムーズな輸出が可能になります。

同等性制度を使うか、それとも現地の有機認証を直接取得するかは、ターゲット市場や事業規模によって判断が分かれます。自社の状況を見極めながら、最適な戦略を選択してください。

世界のオーガニック市場は今後も拡大が見込まれています。同等性制度という有利な仕組みを最大限に活用し、日本のオーガニック食品を世界に届けていきましょう。

オーガニック食品輸出:認証方法の判断フロー
オーガニック食品を海外に輸出したい
輸出先はどこですか?
EU または 米国
有機JAS認証を
既に取得していますか?
YES
✓ 同等性制度を利用
追加認証は不要!
取引証明書を取得して
すぐに輸出開始できます
NO
→ 有機JAS認証を取得
その後、同等性制度で輸出
中国・韓国・台湾
東南アジア等
✗ 同等性協定なし
輸出先国の有機認証を
直接取得する必要があります
→ 現地認証を取得
• 中国:中国有機認証
• 韓国:韓国有機認証
• その他:各国基準に対応
対象品目を確認
【同等性対象品目 2025年版】
✓ 有機農産物(米、野菜、果物、茶葉等)
✓ 有機加工食品(味噌、醤油、ジャム等)
✓ 有機酒類(日本酒、焼酎等)← 2025年追加
✓ 有機畜産物(牛肉、鶏肉、鶏卵等)← 2025年追加
✓ 有機畜産物加工品← 2025年追加
輸出準備完了 → 海外展開スタート!
💡 判断のポイント
初めての輸出 → EU/米国から始めると同等性制度でスムーズ
複数国展開 → まず同等性国で実績を作り、段階的に他国へ
予算に制約 → 同等性制度でコスト削減を優先
長期的な大規模展開 → 現地認証も視野に入れた戦略を