食品輸出を検討しているものの、どの国をターゲットにすべきか判断に迷っていませんか。国内市場の縮小が進む中、海外展開は経営戦略として重要性を増していますが、市場規模や成長性を見極めずに進めると、思うような成果が得られないリスクがあります。
本記事では、食品輸出の国別ランキングを最新の輸出実績データをもとに詳しく解説します。世界と日本の位置づけ、日本からの主要輸出先となっている国々の特徴、さらに農林水産物の品目別・地域別の輸出動向まで網羅的にお伝えします。米国や東南アジアなど成長市場の分析に加え、自社製品に適した国の選び方、実際に輸出を始める際の具体的なステップも紹介しています。

食品輸出の国別ランキング|世界と日本の最新データ

日本の農林水産物・食品 主要輸出先マップ(2025年上半期)

🇺🇸
アメリカ
1,410億円
第1位(18.6%)
↑22.0%
主要品目:農産物903億円、水産物465億円
🇭🇰
香港
1,068億円
第2位(14.1%)
↑3.4%
🇨🇳
中国
902億円
第3位(11.9%)
↑15.0%
🇹🇼
台湾
806億円
第4位
↑9.6%
🇰🇷
韓国
507億円
第5位
↑22.3%
🇸🇬
シンガポール
320億円
第9位
🇻🇳
ベトナム
394億円
第7位
🇹🇭
タイ
367億円
第8位
↑22.6%
🇦🇺
オーストラリア
280億円
第10位
🇪🇺
EU
454億円
第6位
↑6.2%
🇯🇵
日本
上半期輸出額 7,604億円(+15.5%)
🚀 高成長市場: 韓国(+22.3%)、タイ(+22.6%)、アメリカ(+22.0%)
TOP5合計
4,793億円(63.0%)
水産物輸出
1,680億円(+29.5%)
輸出先転換が奏功
政府目標
2025年:2兆円
2030年:5兆円

食品輸出のビジネスを検討する際、まず知っておきたいのが世界全体の食品貿易の構造と、その中での日本の立ち位置です。世界の食品輸出市場は年々拡大しており、各国がそれぞれの強みを活かして国際競争を繰り広げています。日本も近年、農林水産物の輸出に力を入れており、2024年には過去最高の輸出実績を記録しました。ここでは世界の食品輸出国ランキングと日本の現状について、最新データをもとに詳しく見ていきましょう。

世界の食品輸出国トップ

世界の食品輸出市場を見ると、アメリカやブラジル、オランダなどの農業大国が上位を占めています。これらの国々は広大な農地や効率的な生産体制を持ち、大量の農産物を世界中に供給しています。世界貿易機関(WTO)のデータによれば、農産物・食料品の輸出において、アメリカは常にトップクラスの輸出額を誇り、穀物や肉類、大豆などが主要品目となっています。

ブラジルもコーヒー豆、大豆、牛肉などの輸出で世界的に重要な役割を果たしており、特に中国をはじめとするアジア市場への供給国として存在感を増しています。一方、オランダは国土面積こそ小さいものの、施設園芸技術の高さを活かした野菜や花卉の輸出、さらにチーズなどの乳製品で高い競争力を持っています。このほか、フランスはワインやチーズといった高付加価値の食品輸出国として知られ、ドイツやイタリア、スペインなども欧州の主要輸出国に名を連ねています。

アジアからは中国やタイ、ベトナムなどが食品輸出を伸ばしており、特にタイは米や水産物の加工品、ベトナムはコーヒー豆や水産物で輸出実績を上げています。こうした国々と比較すると、日本は農地面積や生産規模の面では不利な立場にありますが、品質や安全性の高さという強みで差別化を図っています。

日本の食品輸出ランキングにおける位置づけ

日本は世界の食品輸出国ランキングにおいて、主要国と比べると輸出額の規模では大きく見劣りするのが現状です。上位の農業大国が数兆円から数十兆円規模の輸出額を誇るのに対し、日本の農林水産物・食品の輸出額は2024年時点で約1.5兆円にとどまっています。世界全体で見れば、日本の輸出額はまだ限定的と言えるでしょう。

しかし、重要なのは日本の輸出額が着実に成長を続けているという点です。日本政府は2025年に2兆円、2030年に5兆円という野心的な輸出目標を掲げており、この10年間で輸出額は右肩上がりの成長を遂げてきました。特に日本食ブームや健康志向の高まりを背景に、日本産の農産物や加工食品への海外からの需要は確実に増加しています。

日本が輸出で勝負できるのは、量よりも質の面です。安全性が高く、味や見た目にもこだわった日本の食品は、富裕層や健康志向の消費者から高い評価を受けています。例えば、日本産のいちごやぶどうは一粒数百円という高価格でも海外で人気があり、和牛や日本酒、緑茶なども日本ならではの品質で差別化されています。こうした高付加価値商品に特化することで、日本は世界市場で独自のポジションを築きつつあるのです。

2024年の農林水産物輸出実績の概要

2024年の日本の農林水産物・食品の輸出実績は、前年比3.7%増の1兆5,073億円となり、12年連続で過去最高を更新しました。初めて1.5兆円台に到達したことは、日本の食品輸出が新たなステージに入ったことを示しています。内訳を見ると、農産物が8.4%増の9,818億円と大きく伸びており、全体の約65%を占めています。林産物も7.4%増の667億円と堅調でした。

一方、水産物は7.5%減の3,609億円となり、前年から減少しています。これは中国による日本産水産物の輸入規制が大きく影響しており、特にホタテ貝などの対中輸出が停止したことが響きました。ただし、水産物輸出は米国やベトナム、タイなど他国への輸出先転換が進んでおり、影響の緩和が図られています。

2024年 品目別輸出構成比

農産物 65.1% 水産物 23.9% 林産物 4.4% その他 6.6% 総額 1.5兆円
農産物 9,818億円(65.1%)
前年比 +8.4%増
水産物 3,609億円(23.9%)
前年比 -7.5%減
※中国の輸入規制の影響
林産物 667億円(4.4%)
前年比 +7.4%増
その他加工品等 979億円(6.6%)

📈 主要品目の成長率:
• 緑茶:前年比+24.6%増
• 牛肉:前年比+12.1%増
• 日本酒:前年比+5.9%増
• ウイスキー:堅調に推移

📊 データ出典:2024年通年実績(1兆5,073億円)
12年連続で過去最高を更新、初めて1.5兆円台に到達

品目別で見ると、緑茶が大きく輸出を伸ばしています。2024年の緑茶輸出額は前年比24.6%増となり、健康志向の高まりや日本食ブームを背景に、抹茶をはじめとする粉末状の緑茶が欧米や東南アジアで人気を集めています。また、牛肉も前年比12.1%増と好調で、台湾やタイ向けの輸出が外食需要を中心に拡大しました。日本酒やウイスキーといったアルコール飲料も引き続き人気が高く、日本酒は前年比5.9%増、ウイスキーも堅調に推移しています。

こうした輸出増加の背景には、日本食レストランの世界的な増加、インバウンド観光による日本食の認知度向上、健康志向の高まりといった複数の要因があります。円安基調も輸出の追い風となっており、日本産食品の価格競争力が相対的に高まっていることも見逃せません。

食品輸出の国別ランキング|日本からの主要輸出先

日本から食品を輸出する際、どの国が主要な市場となっているのかを理解することは、輸出戦略を立てる上で非常に重要です。日本の食品輸出先は、地理的に近いアジア地域が中心となっていますが、近年では北米や欧州への輸出も拡大しています。2025年上半期(1月~6月)のデータを見ると、輸出先のトップ10がはっきりと浮かび上がってきます。これらの国々は、それぞれ異なる市場特性を持っており、品目によって強みを発揮する市場が異なります。

輸出額トップ5の国と地域別の特徴

2025年上半期の食品輸出額トップ5は、1位が米国(1,410億円)、2位が香港(1,068億円)、3位が中国(902億円)、4位が台湾(806億円)、5位が韓国(507億円)となっています。これら5か国・地域だけで、日本の食品輸出全体の約63%を占めており、極めて重要な市場です。

米国向けは全体の18.6%を占め、前年同期比22.0%増と大きく伸びています。内訳を見ると農産物が903億円、水産物が465億円、林産物が42億円となっており、農産物と水産物が主力です。米国市場の特徴は、日本食レストランの増加に加え、健康志向の高まりが追い風となっている点です。

香港向けは1,068億円で全体の14.1%を占めています。前年同期比では3.4%増とやや控えめな伸びですが、安定した輸出先として重要です。香港は水産物の輸出額が425億円と高く、特に高級水産物の中継貿易拠点としての役割も果たしています。

中国向けは902億円(前年同期比15.0%増)となっており、水産物の輸入規制の影響を受けながらも、農産物と林産物が好調です。農産物が683億円、林産物が184億円と、林産物の比重が他国に比べて高いのが特徴です。丸太や木材製品の需要が根強く、また日本酒などのアルコール飲料も人気があります。

台湾向けは806億円(前年同期比9.6%増)で、農産物が609億円と圧倒的に多く、果物や加工食品が人気です。台湾は親日的な市場で、日本の食品の品質に対する信頼が厚く、安定した輸出先となっています。

韓国向けは507億円(前年同期比22.3%増)と大きく成長しています。インスタントコーヒー、ビール、水産物などが好調で、K-POPや韓流ドラマを通じた日本文化への関心の高まりも輸出を後押ししています。

2025年上半期 農林水産物・食品の輸出先TOP10

順位 国・地域 輸出額(億円) 構成比 前年同期比
1位 🇺🇸 アメリカ 1,410 18.6% ↑ +22.0%
2位 🇭🇰 香港 1,068 14.1% ↑ +3.4%
3位 🇨🇳 中国 902 11.9% ↑ +15.0%
4位 🇹🇼 台湾 806 10.6% ↑ +9.6%
5位 🇰🇷 韓国 507 6.7% ↑ +22.3%
6位 🇪🇺 EU 454 6.0% ↑ +6.2%
7位 🇻🇳 ベトナム 394 5.2%
8位 🇹🇭 タイ 367 4.8% ↑ +22.6%
9位 🇸🇬 シンガポール 320 4.2%
10位 🇦🇺 オーストラリア 280 3.7%
その他 1,096 14.4%
合計 7,604 100.0% ↑ +15.5%

※2025年1-6月実績。前年同期比は2024年1-6月との比較
※構成比は小数第1位まで表示のため合計が100%にならない場合があります

米国向け食品輸出の最高記録と成長要因

米国向けの食品輸出は2025年上半期に過去最高を記録し、日本の食品輸出における最大の成功事例となっています。輸出額1,410億円は前年同期比で254億円も増加しており、成長率は22.0%に達しました。この驚異的な伸びには、いくつかの要因が重なっています。

まず、ホタテ貝の輸出が大幅に増加しました。米国産ホタテ貝の減産により、日本産ホタテ貝への需要が高まったことが大きな要因です。中国による輸入規制で行き場を失っていた日本のホタテ貝が、米国市場で引く手あまたとなり、結果的に米国向け輸出の大幅増につながりました。

緑茶の輸出も好調です。健康志向の高まりを背景に、抹茶を使ったラテやスイーツが米国で人気を集めており、食品原料としての粉末状緑茶の需要が拡大しています。スターバックスなどの大手チェーンが抹茶メニューを展開していることも、認知度向上に貢献しています。

ぶりの輸出も増加しました。これは2024年夏の環境変化による成長の遅れで、本来なら2024年に輸出されるはずだったぶりが2025年上半期にずれ込んだという特殊事情もあります。それでも、米国市場では寿司や刺身用の高品質な魚への需要が根強く、日本産ぶりのブランド価値が評価されています。

また、日本食レストランの増加も見逃せません。米国では日本食レストランが年々増え続けており、それに伴って調味料や食材の需要も増加しています。インバウンド観光で日本を訪れた米国人が帰国後も日本食を求める傾向も、輸出増加を後押ししています。

中国向け輸出の減少要因と今後の見通し

中国向けの食品輸出は複雑な状況にあります。2025年上半期の輸出額は902億円と前年同期比15.0%増となっており、一見すると好調に見えますが、これは農産物と林産物が伸びた結果です。水産物に関しては、2023年8月に中国政府が日本産水産物の輸入を全面的に停止して以降、大幅な減少が続いています。

中国による輸入規制は、福島第一原発の処理水海洋放出を理由としたものですが、実質的には政治的な圧力の側面が強いと見られています。この規制により、ホタテ貝や なまこ、海産物加工品などの輸出がほぼゼロになりました。かつて中国は日本の水産物輸出の最大市場の一つでしたが、現在はその地位を失っています。

一方で、農産物と林産物は堅調です。丸太の輸出が大きく伸びており、中国の建設需要や木材加工産業向けの需要が旺盛です。また、日本酒や配合調製飼料なども増加しています。中国の富裕層を中心に、日本の高品質な食品への需要は依然として強く、日本酒は日本食レストランの増加やインバウンドによる認知度向上で人気を集めています。

今後の見通しとしては、水産物規制の解除がいつになるかが最大の焦点です。日本政府は中国側との対話を続けていますが、短期的な解決は難しい状況です。そのため、水産物に関しては米国やベトナム、タイなど他市場への輸出先転換が進んでいます。農産物や加工食品については、中国市場の潜在的な規模の大きさを考えれば、引き続き有望な輸出先であることに変わりはありません。

東南アジア・欧州への輸出実績の伸び

東南アジアと欧州向けの輸出も着実に成長しています。東南アジアではタイとベトナムが主要な輸出先となっており、タイ向けは367億円(前年同期比22.6%増)、ベトナム向けは394億円と高い水準を維持しています。

タイ向けでは水産物の輸出が180億円と全体の約半分を占めており、中国の輸入規制を受けた水産物の輸出先転換が進んでいます。また、牛肉の輸出も好調で、タイの富裕層や外食産業向けに和牛などの高級肉が人気を集めています。タイは経済成長に伴い中間層が拡大しており、日本食への関心も高まっています。

ベトナムも重要な市場です。同国は経済成長が著しく、若い世代を中心に日本食への関心が高まっています。ただし、2025年上半期はベトナム政府の輸入許可書発行手続きの遅延により、植木等の輸出が減少するなど、一部品目で課題も見られます。

欧州(EU)向けの輸出は454億円(前年同期比6.2%増)となっており、堅調な伸びを示しています。欧州では日本食がヘルシーで洗練された食文化として高く評価されており、緑茶、日本酒、醤油などの伝統的な食品に加え、和牛やブリなどの生鮮食品も人気が高まっています。特にフランスやイギリス、ドイツなどの主要国では、日本食レストランが増加しており、それに伴って食材の需要も拡大しています。

欧州市場の特徴は、消費者の品質や安全性への意識が非常に高い点です。有機栽培や持続可能性への関心も強く、こうした付加価値を訴求できる日本の食品は競争力を持っています。ただし、欧州の食品規制は厳格で、輸出には入念な準備が必要です。

食品輸出の品目別ランキング|何が売れているのか

日本の食品輸出を品目別に見ると、どのような食品が海外で人気なのかが明確に分かります。農産物、水産物、林産物、加工食品と、それぞれのカテゴリーで強みを持つ品目があり、輸出戦略を立てる際にはこれらのデータを参考にすることが重要です。2024年および2025年上半期のデータをもとに、主要品目の輸出動向を詳しく見ていきましょう。

農産物の品目別輸出実績トップ

農産物の品目別輸出を見ると、日本の強みがはっきりと見えてきます。2025年上半期のデータによれば、緑茶が最も大きく輸出額を伸ばした品目となっています。緑茶の輸出額は262億95百万円で、前年同期比65.3%増という驚異的な伸びを記録しました。増加額は104億円にのぼり、これは欧米や東南アジア向けの健康志向の高まりが背景にあります。

特に注目すべきは、抹茶を含む粉末状の緑茶が人気を集めている点です。ラテやスイーツの食品原料として使われることが多く、スターバックスなどの大手チェーンでの抹茶メニュー展開も追い風となっています。緑茶は日本ならではの商品として差別化しやすく、今後も成長が期待できる品目です。

牛肉も好調で、2025年上半期の輸出額は325億72百万円(前年同期比15.5%増)となりました。台湾やタイ向けが外食や小売を中心に新規商流の開拓により増加しています。和牛ブランドは世界的に高い評価を受けており、霜降りの美しさや柔らかさ、旨味が海外の消費者を魅了しています。特に富裕層向けの高級レストランでは、和牛は特別な日のメニューとして定着しつつあります。

アルコール飲料も主力品目です。日本酒の輸出額は228億19百万円(前年同期比11.8%増)、ウイスキーは289億19百万円(前年同期比14.4%増)となっています。日本酒は日本食レストランの増加やインバウンドによる認知度向上で需要が拡大しており、中国や香港向けが好調です。ウイスキーはシンガポールや中国向けで現地在庫の滞留解消に伴い増加しました。日本のウイスキーは世界的な品評会で高い評価を受けており、プレミアム市場で強い競争力を持っています。

いちごも安定した人気を誇ります。輸出額は53億円(前年同期比22.2%増)で、特にアジア市場での需要が高まっています。日本産のいちごは甘さ、大きさ、形の美しさで他国産と差別化されており、贈答用としても人気があります。香港や台湾では、日本産いちごは高級果物として扱われ、百貨店やスーパーの特設コーナーで販売されています。

果樹・野菜類では、りんごやぶどう、もも、かんきつ類などが輸出されていますが、季節性の影響を受けやすく、年によって変動があります。一方、ながいも(18億97百万円、前年同期比20.1%増)やかんしょ・かんしょ加工品(17億47百万円、前年同期比16.3%増)など、保存性の高い農産物も堅調に推移しています。

水産物の品目別と市場動向

水産物の輸出は、中国による輸入規制の影響を大きく受けていますが、それでも日本の重要な輸出品目であることに変わりはありません。2025年上半期の水産物輸出額(調製品を除く)は1,679億92百万円で、前年同期比29.5%増と大幅に増加しました。これは輸出先の転換が功を奏した結果です。

品目別で見ると、ホタテ貝が最大の輸出品目となっています。輸出額は349億91百万円で、前年同期比45.4%増という高い伸びを記録しました。増加額は109億円にのぼり、これは米国向けの大幅増加が主因です。米国産ホタテ貝の減産に伴い、日本産ホタテ貝への需要が高まったことに加え、中国の輸入停止により行き場を失っていたホタテ貝がベトナムやタイ経由で米国市場に流れたことも影響しています。

ぶりも主力品目で、輸出額は257億10百万円(前年同期比24.6%増)となっています。米国向けが好調で、寿司や刺身用の高品質な魚として人気が高まっています。養殖技術の進歩により、年間を通じて安定した品質のぶりを供給できることが強みとなっています。

真珠(天然・養殖)は222億86百万円(前年同期比2.4%増)で、安定した輸出額を維持しています。日本の真珠は品質が高く、特にアコヤ真珠は世界的に高い評価を受けています。

一方で、さばの輸出が急増しています。輸出額は83億24百万円で、前年同期比97.3%とほぼ倍増しました。さばは健康食品としての認知が高まっており、オメガ3脂肪酸が豊富なことから欧米を中心に需要が拡大しています。缶詰などの加工品も人気があり、手軽に食べられる健康食として評価されています。

いわしも36.0%増と好調で、108億22百万円の輸出額となっています。小型の青魚は栄養価が高く、サステナブルな水産資源としても注目されています。

錦鯉は特殊な品目ですが、59億1百万円(前年同期比34.1%増)と大きく成長しています。錦鯉は日本の伝統的な観賞魚で、海外の富裕層の間でコレクターズアイテムとして人気があります。米国向けが認知度の向上で増加したほか、中国向けも施設認定の更新により輸出が再開されました。

加工食品・調味料の輸出状況

加工食品と調味料の輸出も日本の食品輸出を支える重要な柱です。2025年上半期の加工食品全体の輸出額は2,784億68百万円(前年同期比8.5%増)となっており、堅調に推移しています。

ソース混合調味料(カレー調製品、マヨネーズ、ドレッシング、酢、ウスターソース類など)の輸出額は340億63百万円(前年同期比7.6%増)で、米国や韓国向けが日本食への関心の高まりやインバウンドによる認知度向上で増加しています。日本の調味料は独特の味わいを持ち、現地では入手しにくいため、日本食レストランや日本食ファンにとって必需品となっています。

菓子(米菓を除く)の輸出額は164億18百万円(前年同期比12.2%増)です。米国やフィリピン向けが多種多様な日本の菓子に対する人気の高まりを背景に増加しました。日本の菓子は味のバリエーションが豊富で、パッケージデザインも洗練されており、海外の消費者から高い評価を受けています。特にキットカットの抹茶味やポッキーなどは、日本を代表する菓子として知られています。

清涼飲料水は302億50百万円(前年同期比6.2%増)で、UAEや中国向けが健康志向の高まりにより緑茶飲料や健康飲料を中心に増加しています。無糖の緑茶飲料や機能性を謳った飲料が人気を集めており、日本の飲料メーカーの技術力が評価されています。

醤油は64億83百万円(前年同期比12.0%増)、味噌は35億81百万円(前年同期比18.1%増)と、伝統的な調味料も好調です。これらは日本食の基本的な調味料であり、日本食レストランの増加に伴って需要が拡大しています。また、健康志向の高まりから、発酵食品としての価値も再評価されています。

米菓(あられ・せんべい)は28億50百万円(前年同期比2.3%減)とやや減少していますが、依然として一定の需要があります。パックご飯等(パックご飯・加工米飯・米粉及び米粉製品)は9億61百万円(前年同期比43.8%増)と大幅に増加しており、海外での日本米の需要が高まっています。

食品輸出で成功する国の選び方|地域別の市場特性

食品輸出で成功するためには、自社の製品特性に合った国・地域を選ぶことが極めて重要です。市場規模が大きいからといって、すべての企業にとって最適な輸出先とは限りません。各地域には独自の消費者ニーズ、規制環境、流通構造があり、これらを理解した上で戦略を立てる必要があります。ここでは主要地域の市場特性と参入のポイントを詳しく解説します。

北米市場の特徴と参入のポイント

北米市場、特に米国は日本の食品輸出にとって最も重要で、かつ成長性の高い市場です。2025年上半期の輸出額は1,410億円に達し、全体の18.6%を占める最大の輸出先となっています。米国市場の最大の特徴は、その市場規模の大きさと消費者の多様性にあります。

米国では日本食レストランが継続的に増加しており、2024年時点で数万店舗が営業していると推定されています。これらのレストランは日本食材の安定した需要源となっており、特に業務用市場は有望です。また、寿司やラーメンだけでなく、居酒屋スタイルや焼き鳥、お好み焼きなど、多様な日本食の形態が受け入れられています。

健康志向の高まりも米国市場の大きな特徴です。米国では肥満や生活習慣病が社会問題となっており、ヘルシーな食事への関心が年々高まっています。日本食は低カロリーで栄養バランスが良いというイメージが定着しており、健康志向の消費者から支持を集めています。緑茶や抹茶、発酵食品、海藻類などは、スーパーフードとして注目されています。

参入のポイントとしては、まず現地のパートナーとの連携が重要です。米国は広大な国土を持ち、地域ごとに消費者の嗜好が異なります。西海岸のカリフォルニアやワシントン州では日本食の認知度が高く、革新的な商品も受け入れられやすい一方、中西部や南部では従来型の商品が好まれる傾向があります。現地の卸業者や小売チェーンとの関係構築が成功の鍵となります。

また、食品安全基準への対応も欠かせません。米国食品医薬品局(FDA)の規制は厳格で、食品安全強化法(FSMA)に基づく衛生管理が求められます。特にHACCP(危害分析重要管理点)に基づいた管理体制の構築や、ラベル表示の正確性が重視されます。

流通面では、ECチャネルの活用も有効です。アマゾンや専門のアジア食品ECサイトを通じた販売は、初期投資を抑えながら市場テストができる利点があります。実演販売やテストマーケティングを通じて現地の反応を確かめながら、段階的に販路を拡大していくアプローチが推奨されます。

アジア市場における国別の消費者ニーズ

アジア市場は地理的に近く、文化的な親和性も高いため、日本の食品輸出の中心となっています。しかし、一口にアジアと言っても、国や地域によって消費者ニーズは大きく異なります。

香港は日本食品の輸出で長年トップクラスの市場です。人口約750万人の小さな地域ですが、購買力が高く、日本食品への信頼も厚いのが特徴です。香港では高品質な日本産の生鮮食品や高級加工食品が好まれ、百貨店や高級スーパーでの販売が中心となります。また、香港は中国本土への再輸出の拠点としての役割も果たしています。

台湾は親日的な市場として知られ、日本の食文化への理解が深い地域です。果物や菓子、調味料などが人気で、特に旬の高級果物(いちご、ぶどう、もも等)は贈答用として高値で取引されます。台湾の消費者は品質に敏感で、日本製品であれば多少高くても購入する傾向があります。

韓国は近年急成長している市場です。韓国の消費者は流行に敏感で、SNSでの情報拡散が早いのが特徴です。インスタ映えする商品やユニークな味わいの商品が人気を集めます。また、韓国では日本の酒類(ビール、ウイスキー、日本酒)の人気が高まっています。

東南アジアでは、シンガポール、タイ、ベトナムなどが主要市場です。シンガポールは富裕層が多く、日本食レストランも充実しています。多民族国家であるため、ハラール対応など宗教的配慮も重要です。タイでは日本食ブームが続いており、中間層の拡大に伴って需要が増加しています。ベトナムは若い世代を中心に日本文化への関心が高く、今後の成長が期待されます。

欧州市場での日本食品の評価

欧州市場は地理的には遠いものの、日本食品に対する評価が年々高まっている有望な市場です。2025年上半期のEU向け輸出額は454億円(前年同期比6.2%増)となっており、堅調な成長を続けています。

欧州の消費者は食の安全性や品質に対する意識が非常に高く、オーガニックや持続可能性といった価値観を重視します。日本の伝統的な製法で作られた食品や、環境に配慮した生産方法が評価されやすい市場です。また、欧州では「日本食=ヘルシー」というイメージが定着しており、健康志向の消費者層から支持を集めています。

国別に見ると、フランスは美食の国として知られ、日本食への関心も高い市場です。パリを中心に日本食レストランが増加しており、高品質な食材への需要があります。特に日本酒やウイスキー、緑茶などは、フランスの食文化と相性が良く、人気が高まっています。

イギリスでは寿司が広く普及しており、スーパーマーケットでも寿司が販売されています。また、ロンドンには多くの日本食レストランがあり、ラーメンや居酒屋メニューも人気です。Brexit後の規制変更には注意が必要ですが、依然として重要な市場です。

ドイツやオランダなどでは、健康志向や環境意識の高い消費者層が日本食品に関心を寄せています。特にベジタリアンやビーガン向けの日本食品(豆腐、味噌、海藻など)が注目されています。

欧州市場参入のポイントは、厳格な食品規制への対応です。EUの食品安全規制は世界で最も厳しいとされ、残留農薬基準、食品添加物の使用制限、ラベル表示要件などが細かく定められています。輸出前に十分な準備と確認が必要です。

オセアニア・中東市場の可能性

オセアニアと中東は、日本食品輸出ではまだ規模は小さいものの、将来性のある市場として注目されています。

オーストラリアは2025年上半期の輸出額が169億円(前年同期比13.1%増)となっており、着実に成長しています。オーストラリアは多文化社会で、アジア系移民も多く、日本食への理解があります。シドニーやメルボルンなどの大都市では日本食レストランが人気で、食材需要も高まっています。また、オーストラリアの消費者は健康志向が強く、オーガニックやグルテンフリーといった付加価値商品への関心も高いのが特徴です。

ニュージーランドも小規模ながら安定した市場です。人口は少ないものの、所得水準が高く、日本食品への関心も増しています。

中東市場では、UAE(アラブ首長国連邦)が注目されます。ドバイを中心に富裕層が多く、高級日本食レストランも増加しています。中東市場ではハラール認証が重要で、イスラム教の戒律に適合した食品のみが取引されます。ハラール対応は手間がかかりますが、一度認証を取得すれば、イスラム圏全体への展開が可能になります。

中東では健康飲料への関心も高く、緑茶飲料や健康志向の清涼飲料水が好調です。また、日本の菓子や調味料も人気があり、今後の成長が期待されます。

食品輸出の国別ランキングから見る有望市場の見極め方

食品輸出で成功するためには、単に現在の輸出額が多い国を選ぶだけでなく、自社の製品特性や経営資源に合った市場を見極めることが重要です。国別ランキングデータを活用して、有望な市場を選定する方法を解説します。

輸出額の成長率で判断する新興市場

市場の将来性を判断する上で、輸出額の成長率は重要な指標となります。2025年上半期のデータを見ると、成長率が特に高い市場がいくつか浮かび上がってきます。

ロシア向けの輸出は前年同期比1,073.2%増と驚異的な伸びを示しています。輸出額自体は233億円とまだ小規模ですが、急激な成長を見せており、新たな市場機会として注目に値します。ただし、ロシア市場は地政学的リスクや制裁の影響を受けやすいため、慎重な判断が必要です。

韓国向けは前年同期比22.3%増と高い成長率を記録しています。輸出額507億円と規模も大きく、インスタントコーヒー、ビール、いわしなどが好調です。韓国は日本食への関心が高く、今後も成長が期待できる市場です。

タイ向けも22.6%増と好調で、輸出額367億円となっています。東南アジアの中でも経済成長が著しく、中間層の拡大に伴って日本食品への需要が増加しています。

成長率の高い市場は、まだ競合が少なく、先行者利益を得やすい可能性があります。一方で、市場が未成熟なため、流通インフラや消費者の理解が不足している場合もあります。リスクとリターンのバランスを見極めることが重要です。

成長率だけでなく、輸出額の絶対値も考慮する必要があります。成長率が高くても市場規模が小さければ、投資に見合う収益が得られない可能性があります。逆に、成長率は低くても市場規模が大きければ、安定した収益源となり得ます。

自社製品と相性の良い国を見つける方法

有望市場を見極めるためには、自社製品の特性と各国の需要をマッチングさせることが重要です。品目別・国別のデータを詳しく分析することで、自社製品に最適な市場が見えてきます。

まず、自社製品がどのカテゴリーに属するかを明確にします。農産物なのか、水産物なのか、加工食品なのか。さらに、高級品なのか、一般消費財なのか、業務用なのかといった位置づけも重要です。

例えば、高級果物(いちご、ぶどう、もも等)を扱っている場合、台湾や香港が有力な市場となります。これらの地域では、日本産の高級果物は贈答品として高値で取引されており、品質への評価も高いためです。一方、米国向けでは果物よりも水産物や緑茶、調味料などの需要が高いため、果物単独での参入は難しい可能性があります。

水産加工品を扱っている企業であれば、米国が有力な市場です。米国ではホタテ貝、ぶり、さばなどの需要が高く、健康志向の消費者層から支持を集めています。また、ベトナムやタイなども水産物の輸出先転換先として注目されています。

調味料や加工食品メーカーにとっては、日本食レストランが多い地域が有望です。米国、香港、シンガポール、タイなどでは、日本食レストラン向けの業務用需要が高く、醤油、味噌、ソース類などの継続的な需要が見込めます。

さらに、現地の規制環境も考慮する必要があります。例えば、有機栽培や特定の認証を取得している製品であれば、欧州市場が適しています。逆に、認証取得が難しい製品は、規制が比較的緩やかなアジア市場から始めるのが現実的かもしれません。

自社の生産能力や供給体制も重要な判断基準です。大量生産が可能で安定供給ができる企業は、米国のような大規模市場に挑戦できます。一方、生産量が限られている場合は、香港やシンガポールのような小規模でも購買力の高い市場から始めるのが賢明です。

競合他社の輸出実績から学ぶ市場選定

競合他社の輸出動向を分析することも、市場選定の重要な手がかりとなります。業界団体が公表しているデータや展示会での情報収集、さらには現地での市場調査などを通じて、競合の動きを把握しましょう。

同じ品目を扱う競合企業がすでに成功している市場は、需要が確実に存在することの証明です。ただし、競合が多い市場では価格競争に陥りやすいため、差別化戦略が必要になります。品質、ブランド、サービスなどで他社と異なる価値を提供できるかを慎重に検討しましょう。

一方で、競合があまり進出していない市場にもチャンスがあります。規制が厳しい、物流が複雑、文化的な障壁があるなどの理由で、他社が敬遠している市場かもしれません。こうした市場は参入障壁が高い分、成功すれば先行者利益を得られる可能性があります。

業界のリーディングカンパニーの動きにも注目しましょう。大手企業が新たな市場に参入する場合、それは市場の成長性が高いことを示唆している可能性があります。ただし、大手企業と直接競合するのは避け、ニッチな分野や地域での展開を検討するのが中小企業には適しています。

また、異業種の企業がどのように海外展開しているかも参考になります。例えば、日本の化粧品メーカーがアジア市場で成功している事例から、流通チャネルやマーケティング手法を学ぶことができます。食品と化粧品では商品特性は異なりますが、「日本品質」を訴求するという点では共通しています。

成功事例だけでなく、失敗事例からも学ぶことが重要です。特定の市場で撤退した企業がある場合、その理由を分析することで、同じ失敗を避けることができます。規制対応の失敗、文化的な理解不足、物流コストの過大評価など、様々な要因が考えられます。

最終的には、自社の強みを最大限に活かせる市場を選ぶことが成功の鍵となります。市場規模や成長率も重要ですが、自社製品の特性、経営資源、競合状況を総合的に判断し、勝算のある市場から着実に展開していくことをお勧めします。

まとめ

日本の食品輸出は2024年に1兆5,073億円を達成し、12年連続で過去最高を更新しました。2025年上半期も前年同期比15.5%増の8,097億円と好調を維持しており、政府目標の2025年に2兆円、2030年に5兆円の達成に向けて順調に推移しています。

輸出先の国別ランキングを見ると、米国が最大の輸出先となっており、健康志向の高まりや日本食レストランの増加を背景に大きく成長しています。香港、中国、台湾、韓国などアジア諸国も重要な市場であり、それぞれ異なる消費者ニーズを持っています。品目別では、緑茶、牛肉、ホタテ貝、日本酒などが好調で、日本ならではの高品質な食品が海外で高く評価されています。

食品輸出で成功するためには、自社製品の特性に合った市場を選び、現地のニーズや規制に対応した戦略を立てることが重要です。輸出額の成長率だけでなく、市場規模、競合状況、規制環境、物流インフラなどを総合的に判断し、勝算のある市場から着実に展開していくことが求められます。

海外展開にはリスクも伴いますが、国内市場の縮小が避けられない中、食品輸出は日本の食品産業にとって大きな成長機会です。本記事で紹介した国別ランキングや市場特性の情報を参考に、皆様の食品輸出ビジネスが成功することを願っています。