新規事業として食品輸出を検討する際、まず知りたいのが「日本の食品輸出市場は本当に成長しているのか」「どの品目や地域に将来性があるのか」といった具体的なデータではないでしょうか。経営判断や事業計画を立てる上で、信頼できる数字に基づいた分析が不可欠です。
本記事では、日本の食品輸出額の最新実績から過去10年の推移、品目別・地域別の上位ランキングまで、市場の成長性を判断するために必要な情報をまとめています。農林水産物を中心とした輸出動向、今後成長が期待される分野、さらには新規参入時のポイントまで網羅的に解説しますので、御社の輸出戦略を考える際の確かな根拠資料としてご活用いただけます。
この記事を読めば、食品輸出市場の全体像が把握でき、自社にとって最適な輸出戦略の方向性を見出すことができるでしょう。
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日本の食品輸出額の現状と最新データ
日本の食品輸出市場は、近年著しい成長を続けています。農林水産省が発表している貿易統計によると、日本の農林水産物・食品の輸出は過去10年間にわたって右肩上がりの成長を記録しており、政府も2025年には2兆円、2030年には5兆円という野心的な目標を掲げています。
この成長の背景には、世界的な日本食ブームがあります。日本食レストランの増加や健康志向の高まり、さらにはインバウンド観光客の増加によって日本食の認知度が向上したことが、輸出増加の主な要因となっています。特にアジア地域を中心に、日本の食品に対する需要が急速に拡大しているのが現状です。
輸出額の推移を見ると、2014年には約6,117億円だった輸出額が、2024年には1兆4,094億円まで増加しました。これは約2.3倍の成長率であり、食品業界にとって海外市場が魅力的なビジネスチャンスとなっていることを示しています。新規事業として食品輸出を検討されている企業にとって、今まさに参入を考えるべきタイミングと言えるでしょう。
2024年の食品輸出額の実績
2024年(1月〜12月)の日本の農林水産物・食品の輸出額は、前年比3.8%増の1兆4,094億円となりました。内訳を見ると、農産物が9,818億円(前年比8.4%増)、林産物が667億円(同7.5%増)、水産物が3,609億円(同7.5%減)という結果でした。
農産物の好調な伸びが全体の成長を牽引している一方で、水産物については中国による日本産水産物の輸入停止措置の影響を受けて減少しています。しかし、この課題に対しても、輸出先の多様化によって影響を最小限に抑える取り組みが進められています。
さらに注目すべきは、2025年1月〜6月の上半期実績です。この期間の輸出額は前年同期比15.5%増の8,097億円と大幅な増加を記録しました。特に米国向けが22.0%増、韓国向けが22.3%増と大きく伸びており、市場の拡大傾向が継続していることがわかります。
この好調な推移は、日本食レストランの増加、日本食への関心の高まり、インバウンドの増加による認知度向上、健康志向の高まりなど、複数の要因が重なった結果です。食品メーカーにとっては、こうした追い風を活かして輸出事業を展開する絶好の機会となっています。
農林水産物・食品の輸出額推移
過去10年間の輸出額推移を見ると、日本の食品輸出市場の成長性が明確に理解できます。2014年に6,117億円だった輸出額は、以下のように推移してきました。
日本の食品輸出額推移(2014-2024年)と政府目標
単位:億円
目標
2015年には7,451億円、2016年は7,501億円とやや横ばいでしたが、2017年以降は再び成長軌道に乗り、2018年には9,068億円に達しました。その後も2019年9,121億円、2020年9,861億円と着実に増加を続けています。
特に注目すべきは2021年以降の急成長です。2021年には1兆2,382億円と初めて1兆円の大台を突破し、2022年には1兆4,140億円、2023年には1兆4,542億円、そして2024年には1兆5,073億円(速報値)に達しました。わずか3年間で約1.2倍という驚異的な成長率を記録しています。
この推移から読み取れるのは、短期的な一時的ブームではなく、構造的な需要増加が起きているということです。世界的な健康志向の高まり、日本食の文化的価値の認識向上、そして各国における中間所得層の拡大といった要因が、長期的な成長を支えています。
政府が掲げる2025年2兆円、2030年5兆円という目標も、決して非現実的な数字ではありません。現在の成長トレンドが継続すれば、達成可能な範囲にあると考えられます。
食品輸出額の品目別ランキング上位
日本の食品輸出を品目別に見ると、どのような商品が海外で人気なのかが明確になります。2024年および2025年上半期のデータから、輸出額上位の品目とその特徴を分析していきましょう。
輸出額上位の品目とその特徴
2024年の品目別輸出額ランキングを見ると、トップは加工食品で5,342億円(前年比4.8%増)でした。加工食品の中でも特に好調なのがアルコール飲料で、全体で1,337億円を記録しています。内訳を見ると、日本酒が435億円(5.9%増)、ウイスキーが437億円と拮抗しており、両者が牽引役となっています。
第2位は畜産品で、牛肉が648億円(12.1%増)と大きく伸びました。台湾やタイ向けが外食や小売を中心に新規商流の開拓により増加したことが背景にあります。豚肉や鶏卵も堅調に推移しており、日本産畜産物への需要の高まりが見て取れます。
水産物(調製品を除く)は2,819億円で、ホタテ貝が695億円(0.9%増)、真珠(天然・養殖)が412億円、ぶりが414億円と上位を占めています。特に2025年上半期にはホタテ貝が前年同期比45.4%増の350億円と大幅に伸びており、米国産ホタテ貝の減産に伴う日本産への需要シフトと、中国の輸入停止による輸出先転換が功を奏しています。
その他注目すべき品目として、緑茶が364億円(24.6%増)と大きく成長しています。欧米や東南アジア向けに、健康志向や日本食への関心の高まりを背景に、抹茶を含む粉末状茶を中心に輸出が拡大しました。2025年上半期にはさらに65.3%増と急伸しており、最も成長性の高い品目の一つと言えます。
品目別の伸び率と成長性分析
品目別成長率ランキング TOP10(2025年上半期)
前年同期比での増加額・増加率
| 順位 | 品目 | 成長率 | 成長の可視化 | 増加額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 緑茶 | +65.3% | +104億円 | |
| 2 | ホタテ貝 | +45.4% | +109億円 | |
| 3 | ぶり | +24.6% | +51億円 | |
| 4 | 米国向け全体 | +22.0% | +255億円 | |
| 5 | 牛肉 | +15.5% | +44億円 | |
| 6 | 中国向け全体 | +15.0% | +118億円 | |
| 7 | ウイスキー | +14.4% | +27億円 | |
| 8 | 牛肉(台湾向け) | +12.1% | +28億円 | |
| 9 | 日本酒 | +11.8% | +23億円 | |
| 10 | 台湾向け全体 | +9.6% | +71億円 |
• 緑茶は粉末状の抹茶がラテやスイーツ原料として欧米で人気を集め、驚異的な成長
• ホタテ貝は米国産の減産により日本産への需要がシフト、輸出先転換も成功
• 米国・韓国向けが20%超の高い伸び率を示し、今後の成長市場として注目
品目別の伸び率を分析すると、今後のビジネスチャンスが見えてきます。2025年上半期のデータから、特に成長著しい品目を見ていきましょう。
最も高い伸び率を示したのは緑茶で、前年同期比104億円増(65.3%増)という驚異的な成長を記録しました。粉末状の抹茶がラテやスイーツなどの食品原料として欧米で人気を集めており、この傾向は今後も継続すると見込まれます。
第2位の伸びを見せたのはホタテ貝で、109億円増(45.4%増)でした。米国向けが米国産の減産により需要が高まったこと、さらにベトナムやタイなど新たな市場への転換が成功したことが要因です。
ぶりは51億円増(24.6%増)と好調で、米国向けが2024年夏の環境変化による成長の遅れに伴う輸出時期の後ろ倒しにより増加しました。牛肉も44億円増(15.5%増)と堅調で、台湾、タイ向けが新規商流の開拓により拡大しています。
一方、減少した品目もあります。植木等は25億円減、なまこ(調製)は19億円減、りんごは18億円減となりました。これらは春節用として前年12月に多く輸出された反動や、輸入許可書発行の遅延といった一時的な要因によるものです。
成長性という観点では、健康志向に関連する品目(緑茶、清涼飲料水)、日本食の認知度向上に関連する品目(日本酒、ソース混合調味料、菓子)、そして高品質な水産物・畜産物が今後も伸びると予想されます。
食品輸出額の国別・地域別の内訳
日本の食品輸出先を国・地域別に分析すると、市場ごとの特性や将来性が見えてきます。2025年上半期のデータをもとに、主要輸出先とその特徴を詳しく見ていきましょう。
主要輸出先国とその輸出額
国・地域別輸出額ランキング(2025年上半期)
単位:億円
※2025年1月〜6月の実績データ
上位5カ国で全体の約62%を占めており、米国と韓国が高い成長率を記録
2025年1月〜6月の国・地域別輸出額ランキングでは、第1位が米国で1,410億円(前年同期比22.0%増)、第2位が香港で1,068億円(3.4%増)、第3位が中国で902億円(15.0%増)、第4位が台湾で806億円(9.6%増)、第5位が韓国で507億円(22.3%増)という結果でした。
米国向けが最大の輸出先であり、全体の18.6%を占めています。4月から関税措置が導入されたにもかかわらず、ホタテ貝、緑茶、ぶりなどが大きく増加した結果、前年同期比22.0%増という高い伸び率を記録しました。米国市場は規模が大きく、今後も成長が期待できる重要な市場です。
香港は第2位の市場ですが、伸び率は3.4%増と比較的緩やかでした。これは香港が中国本土への中継貿易拠点としての役割も担っているため、中国の輸入規制の影響を受けやすいことが背景にあります。
中国向けは902億円で15.0%増と回復傾向にあります。内訳を見ると、農産物が683億円、林産物が184億円と、特に丸太、日本酒、配合調製飼料が増加しました。水産物については輸入停止措置の影響で35億円にとどまっていますが、農産物や林産物での拡大が全体をカバーしています。
台湾は806億円で9.6%増と安定的な成長を続けています。台湾は日本食への親和性が高く、牛肉、菓子、日本酒など幅広い品目で需要があります。
韓国は507億円ながら22.3%増と高い伸び率を示しており、インスタントコーヒー、ビール、いわしなどが好調でした。韓国も日本食ブームが継続しており、今後の成長が期待できる市場です。
地域別の市場特性と今後の展望
各地域の市場特性を理解することは、効果的な輸出戦略を立てる上で重要です。
アジア地域は日本の食品輸出の中心市場です。地理的に近く、日本食への親和性も高いため、生鮮品から加工品まで幅広い品目が受け入れられています。特に香港、台湾、韓国、シンガポールなどは、所得水準が高く、高品質な日本食品への需要が旺盛です。今後も中間所得層の拡大に伴って市場は成長すると見込まれます。
北米市場(主に米国)は、規模が大きく成長率も高い魅力的な市場です。健康志向の高まりから、緑茶や抹茶製品、発酵食品などへの関心が高まっています。また、日本食レストランの増加により、本格的な日本食材への需要も拡大しています。ただし、関税や規制への対応が必要な点には注意が必要です。
EU市場は、オーガニックや健康志向の消費者が多く、高品質な日本食品への関心が高まっています。2025年上半期のEU向け輸出額は454億円(6.2%増)と着実に成長しています。ただし、EUは食品安全基準が厳しいため、輸出には十分な準備が必要です。
東南アジア市場(ベトナム、タイなど)は、経済成長に伴い中間所得層が拡大しており、今後の成長が期待される市場です。特にタイは367億円(22.6%増)と高い伸びを示しており、日本食への関心の高まりが見られます。
今後の展望としては、特定市場への依存度を下げ、輸出先を多様化することが重要です。中国の輸入規制のような予期せぬ事態にも対応できるよう、複数の市場でバランスよく事業を展開することが求められます。
日本の食品輸出額の推移から見る市場トレンド
過去10年間の輸出額推移を詳しく分析することで、市場の構造的な変化や今後の方向性が見えてきます。単なる数字の増減ではなく、その背景にあるトレンドを理解することが、成功する輸出戦略を立てる鍵となります。
過去10年間の輸出額推移
2014年から2024年までの10年間で、日本の食品輸出額は6,117億円から1兆5,073億円へと約2.5倍に成長しました。この成長は一直線ではなく、いくつかの段階を経ています。
第1段階(2014年〜2016年)は緩やかな成長期でした。6,117億円から7,501億円へと年平均約10%の成長率でした。この時期は、2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、世界的に日本食への関心が高まり始めた時期です。
第2段階(2017年〜2020年)は安定成長期です。8,070億円から9,861億円へと着実に増加しました。この時期は、訪日外国人観光客の急増により、日本で日本食を体験した外国人が母国でも日本食品を求めるようになった時期と重なります。
第3段階(2021年〜現在)は急成長期です。2021年に1兆2,382億円と初めて1兆円を突破してから、わずか4年で1.5兆円規模まで拡大しました。この背景には、コロナ禍を経て健康志向が世界的に高まったこと、そして各国での日本食レストランの増加が加速したことがあります。
特筆すべきは、この成長が特定の品目や市場に依存したものではなく、幅広い品目・市場で同時に起きているという点です。これは日本食品全体への評価が高まっていることを示しており、持続可能な成長が期待できる根拠となっています。
成長を牽引している要因分析
日本の食品輸出額が急成長している背景には、複数の構造的要因があります。
第一の要因は、世界的な健康志向の高まりです。日本食は低カロリーでバランスが良く、健康的な食事として世界的に認知されています。特にコロナ禍以降、健康への意識が高まり、日本食への関心がさらに強まりました。緑茶や発酵食品(味噌、醤油、日本酒など)が健康食品として注目されていることもこの流れの一環です。
第二の要因は、日本食レストランの世界的な増加です。2025年時点で、海外の日本食レストラン数は大幅に増加しており、これらのレストランが本格的な日本食材を求めています。ソース混合調味料、日本酒、菓子などの輸出増加は、この需要に支えられています。
第三の要因は、インバウンド観光の影響です。訪日外国人が日本で食べた料理の味を母国でも求めるようになり、帰国後も日本食品を購入する傾向が強まっています。特に台湾、香港、韓国など近隣アジア諸国でこの傾向が顕著です。
第四の要因は、各国の中間所得層の拡大です。特にアジア地域では経済成長に伴って可処分所得が増加し、やや高価な日本食品を購入できる消費者層が拡大しています。
第五の要因は、政府による輸出促進政策です。2025年2兆円、2030年5兆円という明確な目標を掲げ、輸出環境整備のための認証取得支援や商談会開催など、様々な支援策が実施されています。
これらの要因が複合的に作用することで、日本の食品輸出は構造的な成長トレンドを形成しています。短期的な変動はあるものの、長期的には成長が継続すると予想される根拠がここにあります。
食品輸出額から見るビジネスチャンス
食品輸出市場の成長データを踏まえて、具体的にどのような品目や市場にビジネスチャンスがあるのかを見ていきましょう。新規参入を検討する際の重要な判断材料となります。
今後成長が期待される品目
データから読み取れる成長品目の第一は、緑茶・抹茶関連製品です。2025年上半期に65.3%増という驚異的な伸びを示しており、特に粉末状の抹茶がラテやスイーツなどの原料として欧米で人気を集めています。健康志向の高まりとも相まって、今後も成長が続くと予想されます。
第二は、日本酒やウイスキーなどのアルコール飲料です。日本酒は前年同期比11.8%増、ウイスキーは14.4%増と好調です。特に中国、香港、米国などで日本食レストランの増加とともに需要が拡大しています。プレミアム商品としての位置づけが確立されつつあり、高付加価値商品として展開できる可能性があります。
第三は、ソース混合調味料です。カレー調製品、マヨネーズ、ドレッシングなど、日本食の調理に欠かせない調味料の需要が高まっています。米国、韓国などで日本食への関心の高まりとインバウンド増加による認知度向上により、24億円増(7.6%増)と堅調に成長しています。
第四は、高品質な水産物です。ホタテ貝、ぶり、たいなど、日本産の高品質な水産物への需要は根強く、輸出先の多様化によって中国の輸入停止の影響をカバーしています。特にホタテ貝は米国向けが急増しており、新たな市場開拓の成功例と言えます。
第五は、菓子類です。米菓を除く菓子は18億円増(12.2%増)と好調で、米国、フィリピンなどで多種多様な日本の菓子に対する人気が高まっています。品質の高さとユニークな味わいが評価されています。
新規参入を検討する際のポイント
食品輸出事業への新規参入を検討する際、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、ターゲット市場の選定です。米国、香港、中国、台湾、韓国が上位5市場ですが、それぞれ特性が異なります。初期段階では、規制が比較的緩やかで日本食への親和性が高い台湾や香港から始めるのも一案です。一方、市場規模を重視するなら米国や中国を狙うべきですが、規制対応のための準備が必要になります。
次に、品目選定の視点です。生鮮品は鮮度管理や検疫のハードルが高いため、まずは加工食品から始めることを推奨します。特に常温で長期保存が可能な商品(調味料、菓子、茶葉、アルコール飲料など)は、物流コストや品質管理の面で参入しやすい特徴があります。
さらに、差別化戦略も重要です。単に「日本産」というだけでなく、「どのような価値を提供できるか」を明確にする必要があります。健康機能性、伝統製法、地域特産品、オーガニックなど、明確な差別化ポイントを持つことが成功の鍵となります。
また、輸出先国の規制・認証要件の確認は必須です。各国で食品表示規則、残留農薬基準、添加物規制、アレルゲン表示などが異なります。事前に十分な調査を行い、必要な認証(HACCP、有機認証など)を取得することが重要です。
最後に、現地パートナーの確保も成功のポイントです。輸入業者、販売代理店、日本食レストランなど、現地で信頼できるパートナーを見つけることで、市場開拓がスムーズに進みます。
食品輸出を始める際の基礎知識
実際に食品輸出を始める際には、手続きや規制、そして活用できる支援制度について理解しておく必要があります。ここでは基本的な知識を整理します。
輸出に必要な手続きと規制
食品を輸出する際には、輸出先国の規制に対応する必要があります。主な規制項目として、製造施設の登録、食品表示、アレルゲン表示、残留農薬基準、添加物規制、GMO規制などがあります。
例えば、中国向けには製造施設のGACC(中国税関総局)への登録が必要です。2022年1月から施行された新規定により、中国へ食品を輸出するすべての海外食品生産企業は登録番号の取得が義務付けられました。品目によっては農林水産省を通じて登録する必要があり、準備には数ヶ月を要することもあります。
米国向けには、FDA(食品医薬品局)への食品施設登録が必要です。また、製造施設は適正製造基準(GMP)やHACCPなどの衛生管理基準に適合した運用を行うことが求められます。
韓国向けには、海外製造施設のMFDS(食品医薬品安全処)への事前登録が義務付けられています。輸入申告の少なくとも7日前までに登録申請を行う必要があります。
台湾向けには、製造施設の個別登録は一般食品については不要ですが、HACCPなど同等の衛生管理基準を満たすことが求められます。
また、日本産食品については、福島第一原発事故以降、一部の国で輸入規制や追加の証明書要求があります。中国、韓国、台湾などでは、原産地証明書や放射性物質検査証明書の添付が必要な場合があります。
活用できる支援制度と補助金
食品輸出を始める企業には、様々な支援制度や補助金が用意されています。
農林水産省では、「輸出環境整備緊急対策事業」を実施しており、輸出先国の規制に対応した輸出環境整備を支援しています。具体的には、輸出先国から求められる規制に対応・適合し、国際的に求められることが多い認証等の取得を推進することが目的で、認証取得に係る費用が緊急的に支援されます。
ハラール認証、コーシャ認証、有機認証(USDA、EU、台湾など)、FSSC22000、ISO22000といった国際認証の取得費用の一部が補助対象となります。補助金額は事業内容によりますが、認証取得のためのコンサルティング費用や審査費用などが支援されます。
また、JETRO(日本貿易振興機構)では、海外での商談会や見本市への出展支援、輸出相談窓口の設置、市場調査情報の提供などを行っています。特に初めて輸出に取り組む企業向けに、ハンズオン支援として個別企業への専門家派遣なども実施されています。
さらに、各都道府県や市町村でも独自の輸出支援事業を展開しています。地域特産品の海外展開支援、商談会参加費用の補助、輸出用パッケージ開発支援などがあります。
これらの支援制度を活用することで、初期投資を抑えながら食品輸出事業をスタートできます。自社だけで全てを進めるのではなく、公的支援を賢く活用することが成功への近道です。
まとめ
日本の食品輸出市場は、過去10年間で約2.5倍に成長し、2024年には1兆5,073億円規模に達しました。政府が掲げる2025年2兆円、2030年5兆円という目標に向けて、堅調な成長が続いています。
品目別では、緑茶・抹茶、日本酒・ウイスキー、ソース混合調味料、高品質な水産物、菓子類などが特に高い成長率を示しています。国別では、米国が最大の輸出先であり、香港、中国、台湾、韓国がそれに続きます。
この成長の背景には、世界的な健康志向の高まり、日本食レストランの増加、インバウンド観光による認知度向上、各国の中間所得層拡大、そして政府の輸出促進政策があります。これらは一時的なブームではなく、構造的な変化であり、今後も成長が継続すると予想されます。
新規参入を検討する企業にとって、今がまさに食品輸出事業を始める好機です。ターゲット市場の選定、品目選定、差別化戦略、規制対応、そして現地パートナーの確保という5つのポイントを押さえることが成功への鍵となります。
また、農林水産省の認証取得支援事業やJETROの各種支援プログラムなど、公的支援制度を積極的に活用することで、初期投資を抑えながら効率的に事業を立ち上げることができます。
市場データが示す通り、日本の食品には世界市場で確かな需要があります。この機会を捉えて、御社の食品を世界に届けてみてはいかがでしょうか。